2024/03/21
出典:Roblox
メタバースでの「自己表現」はZ世代にとって不可欠な要素になっています。Roblox(ロブロックス)は2023年11月12日、「Z世代のデジタルな自己表現に関する調査」に基づく分析レポート「2023 Digital Expression, Fashion & Beauty Trends Report」を公開しました。この内容はRobloxが2022年に公開した「2022 Metaverse Fashion Trends Report」に基づいており、メタバースで人々がどのように自己表現するかについて貴重な初期の洞察を提供してくれました。 2023年のレポートでは、クリエイター、ブランド、業界の専門家が急速に進化する消費者のニーズをよりよく予測し、対応するのに役立つ新たな知見を提供しています。Z世代の実際のコーディネートや購買決定、さらには精神的な幸福感に与える影響など、アバターによる自己表現の全領域をRobloxが自主調査し、「デジタルな自己表現」がZ世代のファッションや幸福感にポジティブな影響を与えることを考察しています。
INDEX
以下、Roblox(ロブロックス)のようなプラットフォームで活動しているアメリカとイギリスのZ世代の1,500人以上を対象とした2023年の調査*の要約です。
・Z世代の56%が「アバターのコーディネートはリアルのコーディネートよりも重要」だと感じており、Z世代の84%が「リアルでのコーディネートがアバターのコーディネートに影響されている」と回答
・Z世代の50%が、人気ブランドのアイテムをアバターで試着すると、リアルの世界でも購入を検討する可能性が「かなりある」「非常にある」と回答
・Z世代の半数以上が毎月10ドルまでのデジタルファッションの購入には「抵抗がない」と感じており、毎月20ドルまで(19%)、毎月50ドルから100ドルまで(18%)とデジタルファッションへの支出に前向き
・Z世代がメタバースでファッションブランドに期待していることは、「リアルとデジタルの両方で着用する連動アイテム」(43%)、「ネットで流行しているリアルなアイテムをメタバースに登場させてほしい」(37%)、「リアルではまだ存在しないデジタル限定のレアアイテム」(37%)
・ 全回答者の3分の1以上(35%)が「自分のアバターのメイクを毎日または毎週カスタマイズすることが重要」と回答し、有料のヘアスタイルやエモートを購入している
・メタバースは「なりたい自分になれる」「批判されにくい」と感じるZ世代が多く、アバターの見た目を選ぶ際に、自分のアバターが自分にとってよく見えるかを「とても気にする」(62%)と回答し、Z世代のほとんどがメタバースでは他人の目を気にしているのではなく、自分のために自己表現している。
・Z世代の88%が「イマーシブな空間で自己表現することで、現実世界でも快適な自己表現ができるようになった」と回答し、Z世代の回答者は「精神的な幸福感に良い影響を与えた」と述べている
これらのことからRobloxは、「デジタルな自己表現」がZ世代の美意識・幸福感にポジティブな影響を与えているのではないかと考察しています。以下、「5つの気づき」を見出し別に紹介していきます。
* 調査方法「2023年版デジタル表現、ファッション&ビューティ・トレンド(2023 Digital Expression, Fashion & Beauty Trends)」レポートには、2つの補完的なデータが含まれています。
・2023年1月から9月までのRobloxプラットフォームから収集した行動データ。
・米国(1027人)と英国(518人)に住む14歳から26歳までの Z世代ユーザー1545人から収集した自己申告による調査データ。Robloxでは2023年9月27日から29日にかけてQualtricsに調査を委託。アメリカ及びイギリスの国勢調査をもとに両国の年齢・性別構成比を反映。本レポートでは、データを「2023 Roblox 自己表現調査」と表記しています。
なお、アンケート調査対象者は「Robloxのようなプラットフォームを毎月1回以上利用する人物」を条件に抽出されています。
出典:Roblox
Robloxのようなプラットフォームで活動しているアメリカとイギリスのZ世代の1,500人以上を対象とした2023年の調査では、アンケートに回答したZ世代の56%が「アバターのコーディネートの方がリアルの世界で着飾るよりも重要」と答えています。 また、22~ 26歳の年齢層の高いZ世代の64%が「リアルの世界で着飾るよりもアバターを着飾ることの方が重要」と答えています。
さらに、Z 世代の回答者の84%は、デジタルファッションは自分にとって「ある程度重要」であると回答し、 85% がデジタルファッションの重要性が過去 1 年間で「ある程度高まった」と回答。半数以上の53%が「デジタルファッションの重要性がかなり高まった」と考えています。
デジタル上のアイデンティティとファッションを通じた自己表現は、 Z世代にとって不可欠な要素なのです。 たとえば、Robloxの2023年第1四半期から第3四半期にかけて、 アバターの更新回数は前年同期比38%増の合計1,650億回に上り、デジタルファッションアイテムやアクセサリーの購入数は前年同期比15%増の約16億件に達しました。 さらに、何百万人ものRobloxユーザーが毎日アバターを更新し続けています。
出典:Roblox
しかし、デジタルファッションの影響は、バーチャル世界だけに留まりません。Z世代の回答者の84%がリアルでのコーディネートがアバターのコーディネートに「ある程度影響を受けている」と報告しており、その内54%は自分のアバターや他のアバターが着ているものから「かなり」あるいは「非常に影響を受けている」と答えています。
メタバースファッションに関して、アンケートに回答したZ世代は明確なスタイルとブランド認知を重視していると強調しています。アバターがステキに見えるかどうかを判断する際に最も注目する点として、回答者の52%が「スタイリッシュなデジタルウェア」を身につけていることを挙げています。また、認知度の高いブランドのデジタルファッションを身につけることが「多少なりとも重要」であると84%が回答しており、その内47%は「かなり重要」または「非常に重要」と答えています。
出典:Roblox
Z世代が人気ブランドのアイテムをアバターで試着した後、リアルの世界でもそのブランドの購入を検討する可能性が「多少ある」 と答えた人が84%、「かなり可能性がある」または「非常に可能性がある」と答えた人は50%にも上りました。アバターで試着すると、リアルの世界でもブランド購入を検討する可能性が高いことがわかっています。
また、デジタルファッションの購入については、毎月10ドルまでの予算なら問題ないと答えた人が52%、 毎月20ドルまでなら使ってもいいと答えた人が 19%、毎月50ドルから100ドルのアイテムを購入することに前向きな人たちが18%もいました。
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さらに、アンケートに回答したZ世代がメタバースでファッションブランドに期待していることは、「リアルとデジタルの両方で着用する連動アイテム」が43%、「ネットで流行しているリアルなアイテムをメタバースに登場させてほしい」が37%、「リアルではまだ存在しないデジタル限定のレアアイテム」が37%という結果になりました。
昨年、リミテッド(限定品)が登場したことで、Robloxユーザーの限定アイテムやレアアイテムへの需要が浮き彫りになりました。たとえば、コミュニティのメンバーは、GUCCI Ancoraでチャレンジに参加してリミテッドアイテムを獲得し、Robloxから生まれたCHRUSHを購入するために行列が起きました。
デジタルファッションはZ世代ユーザーにとっても重要ですが、アバターを使って他の革新的な表現方法を試しているユーザーも多く存在します。その一例がアバターの顔にするメイクで、すでにコミュニティが制作したバーチャル空間の一部で利用できるようになっています。 さらに、Fenty Beauty、Maybelline New York、NARS、ジバンシー・ビューティー、NYX Professional Makeupなど数多くのブランドが、ユーザーのアバターメイクへの関心に応えるべく投資を行っています。
出典:Roblox
Robloxの調査によると、 全回答者の3分の1以上(35%)が「自分のアバターのメイクを毎日または毎週カスタマイズすることが重要」だと回答しており、性自認が女性の回答者では51%に上りました。また、アバターの髪型をカスタマイズするユーザーが増えており、2023年には前年比20%増の1億3,900万点以上のヘアスタイルを購入し、Robloxで5つ以上のヘアスタイルを購入したユーザーは730万人以上に上りました。
しかし、自己表現はそれだけには留まりません。2023年11月時点で980万人のRobloxユーザーがエモートを購入し、前年比64%増となりました。 これは、TOMMY HILFIGERがRobloxでのデジタルファッションコレクションにリアクションを導入するときに注目した点です。
この調査から得られた印象的な知見のひとつは、Z世代のほとんどがメタバースでは他人の目を気にしているのではなく、自分のために自己表現しようと努力しているという点です。 アバターの見た目を選ぶとき、 62%が「自分にとってよく見えるかどうか」をとても気にすると答えているのに対し、 37%が「他人にとってよく見えるかどうか」をとても気にすると答えました。
出典:Roblox
また、回答者であるZ世代の40%がリアルの世界よりもメタバースで本当の自分を見せる方が「簡単だ」と感じています。 その理由として、「表現の自由」や「クリエイティブな選択肢」が増えたことが挙げられています。 さらに、イマーシブ(没入型)空間でアバターとなって交流する時は、「なりたい自分になれる」「批判されにくい」と感じています。
「メタバースではリアルの世界よりも外見で判断されることは少ない」と考えている回答者が、外見で判断されると答えた回答者の2倍に上りました。また、「リアルで撮った写真をSNSに投稿するよりも、アバターを通じてイマーシブな空間で自己表現する方がより自分らしい」と回答する確率が2.2倍高いことがわかりました。
最後に、Z世代の回答者は「精神的な幸福感に良い影響を与えた」と述べており、88%の回答者が「イマーシブ空間で自己表現することで、現実世界でも快適に自分を表現できるようになった」と答えています。 29%が他者とのつながりを築き、 24%が自信を高め、21%が本当の自分らしさの表現を可能にし、25%がその他の方法でメンタルヘルスを改善するのに役立っていると述べています。
Robloxの調査では、アバターを通じた自己表現がZ世代の「幸福感」に貢献することがわかりました。アバターを介してさまざまな交流や体験ができるメタバースは、現実世界より自分らしく、円滑なコミュニケーションを実現しています。
Z世代は世界人口の約4分の1を占め、すでに米国だけで数千億ドルの購買力を持っていることから、Z世代が「文化と経済に多大な影響を与えている」ことが指摘されています。この層がRobloxのような没入型ソーシャルスペースでより多くの時間を費やしています。
厳しい広告規制によって、企業やブランドがZ世代やα世代にアプローチするのは難しいことが多いのが現状です。しかし、Robloxなどに参入することで、ブランドはあからさまに自社商品を宣伝することなく、Z世代やα世代にアプローチすることが叶います。将来の消費者への投資をすることで、購買の早い段階でZ世代やα世代のロイヤルティを獲得することができるでしょう。
メタバースを活用したマーケティング施策や、企業のオリジナルワールドの制作に関するご相談は、お気軽にトランスコスモスにお問い合わせください。
著者
メタバース情報局編集部
メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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