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コラム

2023/12/01

Fortnite(フォートナイト)とは?5億人がハマる魅力やビジネス活用事例を解説

Fortnite(フォートナイト)とは?5億人がハマる魅力やビジネス活用事例を解説

©2023, Epic Games, Inc.

フォートナイト」は、世界中で大ヒットしているオンラインゲームです。フォートナイトはゲームをプレイするだけにとどまらず、オンラインゲームの枠を超えた楽しさと可能性に満ちており、Z世代やα世代のプレイヤーを夢中にさせています。
ビジネスにおいても、ゲームの人気を活用した新しい世代とのコミュニケーションツールや、従来の広告手法を超越する新しい広告手法、マーケティング施策の舞台としても世界中から注目を集めています。

本記事では、フォートナイトの概要や特徴を初心者の方にもわかりやすく解説し、フォートナイトの人気の理由や、企業コラボおよびビジネス活用事例を紹介します。フォートナイトがなぜ多くのユーザーを魅了するのか、その人気を企業がどのように活用しているかがわかります。フォートナイトでマーケティングを実施したいと考えている方や、広告の新しい手法として参考にしたい方も、ぜひ最後までご一読ください。

Fortnite(フォートナイト)とは

「フォートナイト」は、米Epic Gamesが開発・運営するオンラインゲーム。2017年のリリース以降、Z世代とα世代、α世代の親を中心に世界中で爆発的な人気を博しています。
フォートナイトの総ユーザー数は5億人、月間アクティブユーザー数は7,000万人以上と、Epic GamesのCEOが動画で報告しており、同社の時価総額は320億ドル(2022年4月時点)にのぼります。Epic Gamesが運営しているフォートナイトの公式X(旧Twitter)アカウントは11月6日、フォートナイトの新シーズンが開幕して最初の日曜日となった11月5日のプレイヤーが1日に4,470万人を超え、のべ1億200万時間以上のプレイタイムが記録され、フォートナイト史上最大の盛り上がりとなったことを発表しました。
また、フォートナイトはゲームだけにとどまらず、国内外の有名アーティストのバーチャルライブや、グローバルブランドやIP(知的財産)ホルダーとのコラボ、世界的な有名企業の参画、オリンピックeスポーツへの採用など、さまざまな用途で活用されるメガプラットフォームを形成しています。
さらに、同社は、フォートナイト向けのクリエイティブツール「Unreal Editor for Fortnite」(以下、UEFN)を2023年3月23日にリリース。世界中の5億人のユーザーに向けて、プレイヤーやクリエイターが本格的なコンテンツを作成し、公開できるようになりました。UGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームとして、他ユーザーが公開したゲームをプレイしたり、自身でゲームを制作して公開したりできる「ゲーム版YouTube」を目指しています。
フォートナイトは、ユーザーとの共創や独自の経済ルールが構築されるなど、「もっともメタバースに近いプラットフォーム」だといわれています。今、世界中の若い世代がフォートナイト上で繰り広げられる新しい世界に熱狂しています。大人がまだ気づいていない世界で生まれる現象から、次の時代の当たり前が作られているのです。

1-1. フォートナイトならではの特徴

フォートナイトは、「バトルロイヤル」「パーティーロイヤル」「クリエイティブ」「世界を救え」4種のゲームモードでプレイすることができ、「バトルロイヤル」モードが非常に人気です。
対戦で遊ぶなら「バトルロイヤル」モード。PvE(プレイヤーvsCPU)協力モードの「世界を救え」は有料で、オブジェクトを破壊したり、ハスクと呼ばれるモンスターたちと戦ったりすることができます。フォートナイトにはボイスチャット機能があり、仲間とリアルタイムでコミュニケーションを取りながらプレイできるのも、ゲームを盛り上げる大きな要素となっています。
さらに、フォートナイトの魅力は、バトル要素以外でも楽しめるように設計されていることです。映画の上映やバーチャルライブ、島内でのミニゲームなどのコンテンツを楽しむなら「パーティーロイヤル」モード。プレイヤーやクリエイターが自分専用の島やゲームを制作できる「クリエイティブ」モード。フレンドと一緒にゲームを制作したり、他のプレイヤーが制作したマップ(島)に入って遊んだり、自分のアイデア次第で無限の遊び方が可能です。
また、有名企業やアーティストとのコラボレーションも幅広い層のユーザーを取り込み、世界中を熱狂させている大きな要因となっています。

フォートナイトのプレイ方法

前述した通り、フォートナイトにはさまざまなゲームモードがあります。プレイヤーは自分の好みに合わせてゲームモードを自由に選択できるため、α世代とその親世代まで幅広いプレイヤー層を夢中にさせています。ここからは、フォートナイトのプレイ方法をゲームモード別に解説します。

2-1. バトルロイヤル

©2021, Epic Games, Inc.

一番メジャーなゲームモード。最大100人のプレイヤーがバトルバスに乗り込み、バトルフィールドとなる2km四方の小さな島へ降下。武器や防具などを収集しながら戦い、やぐらや壁を建築して身を守り、最後の1人(または1チーム)を目指します。生き残ったプレイヤーは「Victory Royale(ビクトリーロイヤル)」、通称ビクロイとなり、特別なアイテムがもらえます。
1人で戦う「ソロ」の他に、2人でペアになって戦う「デュオ」、3人1組のチームで戦う「トリオ」、4人1組のチームで戦う「スクワッド」といった複数人の仲間でプレイするモードが用意されています。
このバトルロイヤル最大の特徴が「建築要素」です。ツルハシを使うと、マップ上の木や建物、車などを破壊して、木材やレンガ、鉄といった素材を集められます。そして集めた素材を使って、自由に壁や階段を建築できるのです。撃ち合いの時に壁を作って身を隠したり、登れない崖には階段を作って登ったり、巨大な要塞を作って敵を圧倒したり、戦略次第で有利にゲームを進められます。
バトルロイヤルは継続的にアップデートが行われ、新しい武器やアイテム、乗り物、モード、スペシャルイベント、そして「シーズン」が随時追加されます。各シーズンには独自のテーマがあり、過去にはシークレットエージェントや大洪水などがありました。

2-2. ゼロビルド

©2022, Epic Games, Inc.

ゼロビルドは、「建築要素」の無いバトルロイヤルゲームです。バトルロイヤルは建築を駆使して戦う戦略的な要素が絡みますが、ゼロビルドは戦術にフォーカスを当てたもので、純粋に武器とアイテムの扱い、そして移動の能力が試されます。バトルロイヤル同様、「Victory Royale」、通称ビクロイを目指して戦います。

2-3. パーティーロイヤル

©2023, Epic Games, Inc.

パーティーロイヤルはバトルを行わず、ミニゲームを楽しんだり、新たなフレンドを探したり、友達と一緒に映画や音楽ライブなどの限定イベントに参加して楽しむことができるモードです。
これまでもパーティーロイヤルを会場に、国内外の有名アーティストがバーチャルライブを開催してきました。日本人アーティストとして初のパーティーロイヤル出演は米津玄師さんで、話題となりました。
なお、フォートナイトで行われるバーチャルイベントは、ライブ配信ではありません。メインステージに用意された巨大なスクリーンに映し出されるのは、イベント用に用意された映像です。しかし、ユーザー同士が同じ空間で体験を共有するのがフォートナイトにおけるパーティーロイヤルの目的であり、ゲームの世界観と一体化した演出も醍醐味になっています。

2-4. クリエイティブ

©2021, Epic Games, Inc.

クリエイティブは、プレイヤーやクリエイターが自分で自由にマップ(島)を作れるモード。ゲーム内には世界中のプレイヤーやクリエイターが作った島が公開されており、「ディスカバリー」と呼ばれる検索メニューから好きなものを選んでプレイすることができます。
先述した通り、Epic Gamesが「Unreal Editor for Fortnite(以下、UEFN)」をリリースしたことにより、世界中の5億人のユーザーに向けて、プレイヤーやクリエイターが本格的なゲームやコンテンツを作成・公開できるようになりました。
UEFNとは、ゲームやエクスペリエンスを設計、開発し、フォートナイトに直接公開するためのアプリ。カスタムアセットのインポートやモデリング、マテリアル、VFX機能などを有しており、同社が開発したゲームエンジン「Unreal Engine 5」に実装されている機能を多数利用できます。フォートナイトのクリエイティブツールセットと平行利用することも可能で、PC版とコンソール版全体を通して協力してリアルタイムで島を作成し、テストすることが可能です。フォートナイトではこれまで、クリエイティブマップを制作する際、ゲームを起動してクリエイトモードを使用する必要がありました。しかし、UEFNの登場によって、外部ツールでのマップ作成が可能になる形です。
世界の有名ブランドや企業、クリエイターが独自のコンテンツを展開している「クリエイティブモード」。日本でも若年層(10代半ば~10代後半)のクリエイターが多く活動していることで知られています。Epic Gamesの展開するツール群やアセット群との連結により、フォートナイトはこれまで以上に「メタバース」として、バトルロイヤルゲームから、UGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームへと姿を変えていくことが予想されます。

2-5. 世界を救え

©2023, Epic Games, Inc.

バトルロイヤルのようにプレイヤー同士のバトルではなく、建築要素が盛り込まれたPvE(プレイヤーvsCPU)協力モードの有料ゲームです。
広大なフィールドを探索し、最大4人のチームを組んで、モンスターの群れと戦います。“ハスク”と呼ばれるモンスターたちとの戦いでは、戦利品の発見、武器のクラフト、野生生物の手なずけ、そして仲間のヒーローを増やしていくことで自分たちの力を強化していきます。また、基地を建設し、周りにトラップを配置し、ハスクの侵攻を抑え込みながら戦います。
バトルロイヤルにはない武器がたくさんあり、キャラクターごとにタイプや能力も設定できるので、やりこみ要素が満載です。

フォートナイトの人気の理由

©2023, Epic Games, Inc.

3-1. 基本無料で遊べる

フォートナイトの人気の理由の一つは、無料で遊べる点です。主要なゲームモードである「バトルロイヤル」や「クリエイティブ」は基本無料で遊べ、追加コストは一部のモードを除いて必要ありません。また、現在発売しているメジャーなゲーム機すべてに対応しており、幅広いデバイスで楽しめます。このようにゲームにアクセスしやすく、すぐに無料で始められる手軽さがフォートナイトの魅力といえます。

3-2. 異なるデバイスを使用するユーザーと一緒にプレイできる

現在、「バトルロイヤル」「ゼロビルド」「クリエイティブ」は、PlayStation、Xbox、Nintendo Switch、PC、そしてFortnite.com/AndroidまたはSamsung Galaxy StoreのEpic GamesアプリからAndroid版をダウンロードできます。「世界を救え」はPlayStation、Xbox、PCに対応しています。
このように、ゲームにアクセスしやすく、間口を広くしたことが多くのユーザーを取り込めた理由の一つです。また、異なるデバイスを使用するユーザーと一緒にプレイすることができるのも人気の理由の一つといえるでしょう。

  • AppleとEpic Games間の法的な問題により、iOS、Mac、およびGoogle Playでのフォートナイトはバージョン13.40までとなり、新規プレイヤーはiOSにインストールをすることはできません。
    また、「世界を救え」はMacでプレイできなくなったため注意が必要です。

3-3. ゲーム内で話しながらプレイできる

“ボイスチャット機能”を使って、ゲーム内で話しながらプレイすることができます。フォートナイトは、ゲームを介して離れた場所にいる友達や家族とオンラインでつながり、コミュニケーションが可能です。一緒のチームになったプレイヤーと話せる機会にもなるので、フォートナイトを通じてフレンドを作ることもできます。時間と場所の制約を受けずに、いつでもコミュニケーションができるのは非常に大きな魅力といえるでしょう。

3-4. バトル以外の要素

フォートナイトはバトルゲーム以外にも、豊富なコンテンツが揃っています。
「クリエイティブ」モードでは、マップ上に自分のアイデアを形にしたり、他のプレイヤーが作ったマップを探索したり、バーチャル空間を創造する楽しさを味わえます。さらに、「パーティーロイヤル」モードでは、アーティストのバーチャルライブや映画の上映など、新しいエンターテイメント体験を提供しています。
これら多種多様な要素が組み合わさることで、フォートナイトは単なるオンラインゲームの枠を超えた楽しさと可能性を感じさせ、ユーザーを夢中にさせています。

3-5. キャラクターのカスタマイズ性

キャラクターのカスタマイズ性が高いことも楽しみ要素の一つ。プレイヤーの見た目や動きを自由にカスタマイズできる「スキン」や「エモート」といった機能が充実しています。
これまでに登場した「スキン」は900種類以上。入手困難なレアスキンをはじめ、クリスマスやハロウィーンの期間限定スキン、著名なキャラクターとのコラボスキン、バトルパスでしか手に入らないスキンなどがあり、プレイヤーは自分だけの個性的なアバターでプレイできます。
また、「エモート」と呼ばれるアクションも豊富です。 現在、800以上のエモートがあり、定期的に新しいエモートが追加されています。これによりプレイヤーは勝利を祝ったり、スキルを披露したり、感情を表現してコミュニケーションを楽しむことができます。これらのエモートは、バトルパスの報酬や特別なプロモーション、特定のシーズンやイベント限定もあり、プレイヤーの人気をさらに高めています。
それぞれのプレイヤーが自分だけのオリジナルキャラクターを作り、ゲーム上で自分の個性や感情を表現できるのは大きな魅力です。

3-6. 他のシューティングゲームにはない「建築」要素

フォートナイト最大の特徴といえるのが「建築」という要素です。
アイテムの「ツルハシ」を使うことで、島にある木や建物、車などを破壊することができます。破壊して収集した木材やレンガ、鉄を使い、壁や階段、屋根などを作ることが可能で、これにより銃撃戦で敵の攻撃を防ぐための防御壁を作ったり、高い地点から攻撃したり、独自の戦略でバトルを優位に進めることができます。
ただ撃ち合うだけのシューティングゲームとは異なり、各プレイヤーの戦略次第で無数の戦い方が可能となり、その駆け引きが多くのプレイヤーを夢中にさせる大きな要因となっています。

3-7. 初心者でも楽しめるマッチ構成

フォートナイトは、初心者でも安心して遊べるように、同レベルのプレイヤー同士でマッチングされるようプログラムされています。そのため、上級者とチームを組んだ時に迷惑をかけてしまうのではないか、という心配をせずにプレイできます。
どのレベルのプレイヤーでもバトルを楽しめるよう設計されており、多くのプレイヤーを集める一因となっています。

3-8. 有名人の実況配信

世界的に有名なアーティストやスポーツ選手がフォートナイトのファンを公言し、プレイ動画をYouTubeなどで実況配信しています。影響力のある有名人の動画配信により、ゲームの認知度がさらに高まり、動画視聴者がフォートナイトの新たなファンになるという好循環を生んでいます。
日本の有名人では、YouTuberのHIKAKINさん、お笑い芸人の小籔千豊さん、三代目 J SOUL BROTHERSのELLYさんなどが動画を公開しており、その影響力は大きいでしょう。彼らがエキサイティングしている実況動画は、フォートナイトの効果的なプロモーションとなり、人気が衰えない理由の一つとなっています。

UGCクリエイターにとっての「ゲーム版YouTube」

フォートナイトが、プラットフォームになるための舵を切りました。
米Epic Gamesは、2023年3月23日に開催された「GDC2023」にて、Unreal Editor for Fortnite(以下、UEFN)、クリエイターエコノミー2.0などを発表。これは、ゲームのメタバース化/UCG(ユーザー生成コンテンツ)化に向けた大きな転換といえるでしょう。
▶▶ニュースや発表のまとめは、下記をご覧ください。
https://www.unrealengine.com/ja/blog/dive-into-epic-s-announcements-from-gdc-2023

同社は、フォートナイトのクリエイターに向けた新たな収益システム「クリエイターエコノミー2.0」を発表。Epic Gamesが得た純利益の40%を上限としてクリエイターに分配していく「エンゲージメント配当(Engagement Payouts)」という仕組みとなっています。Epic Gamesが認める条件を満たす必要がありますが、制作・公開したマップ(島)が遊ばれた人数・時間に応じて収益を得ることが可能です。それ以降、日本でもUEFN(Unreal Editor For Fortnite)の導入・活用、独自マップの収益化に挑む企業・個人クリエイターが急増。公式の発表では、トップクリエイターは既に年換算で1,000万ドル以上に相当する収益を上げています。UGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームとして、Roblox(ロブロックス)と並び、ゲーム業界における創造的な革新の先駆けとなり、単なるゲームではなく、創造性、革新性、コミュニティの拡大し続ける世界になっていくでしょう。

4-1. ゲームのメタバース化

フォートナイトは、ゲームからソーシャル、メタバースへと進化しています。発売当時のユーザーは「フォートナイトを一緒にプレイしよう」と言っていましたが、今は「フォートナイトで集まろう」と言う、α世代やZ世代の放課後の遊び場になっています。フォートナイト上に投稿されているメタバースコンテンツを選んで遊んだり、フォートナイトをしながら友達と話したり、さらにオリジナルコンテンツやゲームを制作する場でもあるのです。
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の「α世代、オンラインゲームとの付き合い方」調査によると、α世代である小学生のオンラインゲーム実施率は43.8%と高く、低学年でも40%が経験するといいます。また、頻度はほぼ毎日が36.7%と最も多く、週に4~5日程度と合わせると過半数に達しています。
そんなα世代がよく遊ぶオンラインゲームは、以下の通りです。

マインクラフト53.5%
フォートナイト47.8%
あつまれ動物の森46.4%
スプラトゥーン33.9%
Roblox (ロブロックス)13.8%
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の「α世代、オンラインゲームとの付き合い方

α世代にとってオンラインゲームは「コミュニケーションツール」。オンラインゲームは公園と同じく友達と集まる場所で、ZoomやDiscord、LINE通話などでおしゃべりしながら遊んでいます。また、ゲームを遊ぶだけでなく、自分で作ってみたいと感じている小学生は約7割に及び、内4割は実際に制作経験があると回答しています。

4-2. ゲームのUGC化

同じく3月23日、UEFNのパブリックβ版がリリースされました。UEFNとは、フォートナイト内で独自のゲームを作成できる革新的な無料ツール。「クリエイティブ」モードで利用できるツールセットとして提供されており、プレイヤーアクションの設定やゲームシステムのカスタマイズ、アセットの配置など、さまざまな機能が備わっています。操作は直感的で、初心者から上級者まで幅広いレベルのユーザーが利用できます。
また、UEFNは、Epic Gamesが開発した強力なゲームエンジンである「Unreal Engine」と連結されているため、空間デザインや設計の自由度が非常に高く、最新ゲームエンジンUNREAL ENGINE5での細かいビジュアル表現も可能。これまでも「クリエイティブモード」でオリジナルの島を制作することはできましたが、UEFNを使うことでフォートナイトにはないオリジナルの建物やキャラクターをゲーム内に配置したり、ポストプロセスなどを使った多彩なビジュアル表現ができたり、あるいはVerseと呼ばれるプログラミング言語を用いた高度なゲームルールの実装が可能になります。
UEFNによって、フォートナイト内で遊べるコンテンツがよりスピード感をもって開発できるようになり、フォートナイトの魅力をさらに広げ、クリエイターやプレイヤーに無限の可能性を与えているといえるでしょう。

オリンピックのeスポーツに採用

フォートナイトは単なるオンラインゲームという枠を超えた、競技としての魅力も高まっています。オリジナルマップを制作できる「クリエイティブモード」にも注目が集まっており、メタバース的な活用がされています。これまで観光地の再現や音楽アーティストのライブ会場などでも使われてきましたが、今後は競技シーンの開催場所としても脚光を浴びていくでしょう。

5-1. オリンピックeスポーツにフォートナイトが採用

出典:オリンピック公式サイト

シンガポールにて開催されたオリンピックeスポーツシリーズ2023の競技種目「射撃」に、人気オンラインゲームフォートナイト」が採用されました。オリンピックeスポーツシリーズ(OES)は、国際オリンピック委員会(IOC)が国際競技連盟(IF)やゲーム会社と連携して設立した、世界的なバーチャル&シミュレーションスポーツ競技大会です。
これまでにZwiftを利用したサイクリング、Virtual Taekwondoを利用したテコンドーなどの競技が公開されていましたが、「国際射撃連盟(ISSF)チャレンジ・フィーチャリング・フォートナイト」が加わり、実施されるスポーツおよびゲームが10競技になりました。
「射撃」では、フォートナイト内に、国際射撃連盟仕様の島が登場。本競技への参加は招待制で、「フォートナイト・チャンピオンシリーズ」のプレイヤー12名と、地元シンガポールのトップ選手の計13名が参加して技を競い合いました。

5-2. 世界大会「FNCS Fortnite World Cup」

世界大会としては「FNCS(Fortnite Champion Series)」というシリーズがあり、その中で世界一を決めるための「Fortnite World Cup」が毎年開催されています。 2019年にアメリカのニューヨークで行われた「Fortnite World Cup 2019」は、2019年4月に予選を開始。なんと4,000万人以上のプレイヤーが大会に参加し、実際に予選を通過できたのは約200名程度でした。試合は2人でチームを組み、50チームの中で頂点を目指す「デュオ」が基本モードとなっています。優勝賞金は300万ドルで、16歳の少年が見事優勝しました。

フォートナイトのビジネス活用事例

ここからは、フォートナイトがどのようにビジネスに活用されているのか、具体的な活用事例を紹介します。メインのユーザー層であるZ世代やα世代は新しい消費行動を生み出し、カルチャーの変革をけん引している世代です。ブランドや企業がゲームのもたらすメリットを最大限に引き出すためには、この世代が最も大切にしていることに取り組む必要があるでしょう。
企業がフォートナイト上にゲームを制作し、遊んでもらうことが、新しい世代との「新たな認知獲得の施策」であり、「ブランド/企業PR」でもあり、「コミュニケーションツール」としても有効です。また、カスタマージャーニー上の「ファンとの新しい繋がり」を提供する場としても有効でしょう。フォートナイトは、ブランドと未来の消費者との新しい繋がりを築くための無限の可能性を提供しており、今後のマーケティングとエンゲージメント戦略においてますます重要になると考えられています。

6-1. NEIGHBOR

出典:株式会社NEIGHBOR

株式会社NEIGHBOR(ネイバー)は、フォートナイトに特化したメタバース制作スタジオです。NEIGHBORでは、フォートナイトのクリエイティブ機能を使って都市のメタバース化やオリジナルゲームを開発しており、世界トップレベルのクリエイターと提携して大規模な開発にも対応しています。
Netflixオリジナルアニメ「伊藤潤二『マニアック』」をモチーフにフォートナイト内に再現したメタバースお化け屋敷「メタバースお化け屋敷」では累計来場者数が100万人を超え(2023年4月時点)、フォートナイト公式のEpic’s Picks(イチオシ)にも選ばれるなどの実績を持ちます。また、2023年6月には、オリジナルキャラクター「ロケットニンジャ」シリーズをリリースし、累計来場者数は300万人を突破しています(2023年11月現在)。

トランスコスモスは2023年12月、株式会社EbuAction(代表取締役社長:野田慶多)が株式会社NEIGHBOR(代表取締役:ノトフ)と共同運営する、フォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」とパートナーシップを締結しました。NEIGHBORで培ったノウハウを活かし、フォートナイト上にお客様企業独自のマップを短期間で高クオリティに制作します。

6-2. LEGO

出典:Epic Games Japan

2023年12月3日、フォートナイトがLEGOとのコラボを発表しました。
「LEGO Fortnite」はサバイバルとクラフトの要素を取り入れたレゴの世界観からなるアドベンチャーモード。マップは「フォートナイト」の広大なオープンワールドが舞台となり、レゴ特有の“建築の魔法”を楽しめるモードとなっています。本モードの実現は、Epic GamesとThe LEGO Groupによる長期的なパートナーシップから生まれた初のデジタルプレイ体験であり、日本では12月7日より提供を開始。
また、「LEGO Fortnite」モードでは、通常のフォートナイトスタイルのスキンに加えて、新たなミニフィギュア風の「LEGOスタイル」に変更できるようになります。LEGOスタイルはすでに元スキンを所有していれば追加料金なしで受け取ることができ、その数1,200体以上が登場。なお、フォートナイトの公式X(旧Twitter)によれば、LEGOスタイルは毎月追加されていくそうです。
全年齢のプレイヤーが一緒に楽しめるようにデザインされたこのゲームは、プレイを通して創造性、冒険心、そして協調性を高めてくれます。 

6-3. NIKE

出典:Epic Games Japan

NIKEは、2019年5月に初めてフォートナイトとコラボレーションを開始し、フォートナイト上で期間限定ゲームモード「ダウンタウンドロップ」を展開しました。このモードでは、人気スニーカー“Air Jordan”を装着した新キャラクターが登場し、ゲームをクリアすることで限定アクセサリーが入手できるなど、この要素が多くのプレイヤーの関心を惹きつけました。以降、数々のコラボレーションを実施し、新たな顧客へのブランド訴求とゲーム内エンゲージメントを高めることに成功しています。
そして、2023年6月21日、フォートナイトとコラボレーションした新たなプロジェクト「Airphoria(エアフォリア)」を発表。日本では2023年6月28日午前9時まで期間限定で公開されていました。「Airphoria」とは、NIKEの“Air Max”シリーズの要素をデザインに取り入れたゲーム内の仮想世界です。プレイヤーは、奪われたAir Maxの聖杯を取り戻すと、バックアクセサリー「Air Max 1 ’86」を入手できます。また、Airphoriaのインスピレーションを受けたコレクションもNike.com(北米のみ)で発売され、フォートナイトの仮想世界「Airphoria」とAir Maxが直接リンクしています。

6-4. ラルフ ローレン

出典:ラルフ ローレン 合同会社

ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)は、フォートナイトのクリエイティブツールセットとUEFNを使用して構築した没入型ブランデッドワールド「Race to Greatness by Polo Ralph Lauren」を公開し、フィジタル(フィジカル+デジタル)な「Polo x Fortnite P-Wingブーツ」を2023年8月3日より、公式サイトにて限定発売。プレイヤーは、ゲーム内でこのブーツを履きながら、実物のブーツも履くことが可能です。
さらに、本アイテムのローンチを記念し、マルチクリエイターのHIKAKINや新進気鋭のストリーマーta1yoなど、世界で活躍するトッププレイヤーが一堂に会するライブストリーミングイベントも開催しました。
同社は、メタバースを単なるトレンドとしてではなく、新しい消費者とのコミュニケーションツールとして、従来の広告手法を超越する新しい広告として、消費者と新しい形で接触する重要なステップとして捉えています。フォートナイトの新たなインタラクティブ体験でメタバースでの存在感をさらに高めていく意向です。ラルフ ローレンのCEOであるパトリス・ルーヴェ(Patrice Louvet)氏は、「私たちの戦略のひとつは、新しい世代を取り込むことです。だから、私たちはそこにいなければならないのです」と述べています。

6-5. Timberland

出典:ティンバーランド/VFジャパン

米アウトドアライフスタイルブランドのTimberland(ティンバーランド)は2022年6月、フォートナイト上に独自マップ「ティンバーランド・パルクール・トレイル(Timberland Parkour Trails)」を展開し、メタバース事業に初参入しました。
プレイヤーは、開放感のある自然豊かなワールドの中、アウトドア気分で回遊し、パルクールを楽しめます。特別にデザインされた3つのバーチャルブーツ「メタブーツ(Metaboots)」の探索や、サンプルを収集することで特別なゲーム内エフェクトを獲得できるなど、ゲーム要素も満載です。 同社は、ゲームコミュニティとブランドのメタバース戦略を結びつけ、デジタル製品を使ってフットウェアのイノベーションを推進し、サステナビリティを促し、ブランドを消費者の生活やマインドセットに溶け込ませることを目的としています。

6-6.『進撃の巨人』

出典:Epic Games Japan

講談社のマンガやアニメのキャラクターは企業とコラボレーションし、商品やキャンペーンツールとして活用されることで新たな価値を生み出しています。
2023年4月11日より、フォートナイトで『進撃の巨人』コラボを開催しました。同ゲームの「バトルロイヤル チャプター4 シーズン2」のコラボクエストをクリアすることで得られるバトルパス報酬で、主人公エレン・イェーガーのコスチュームがアンロック可能になり、アイテムショップにはリヴァイ兵長とミカサ・アッカーマンのコスチュームが登場。さらに、フロア戦利品や宝箱、調査兵団の小型トランクから立体機動装置や雷槍などの作品の世界観を再現したコラボ武器やアイテムを入手可能という内容になっています。
フォートナイト日本公式Twitterによる告知ツイートは、1万以上の「いいね」が付くバズツイートとなり、リリース前から多くのファンの期待を集めました。全世界登録ユーザー数5億人以上の大ヒットオンラインゲームと、原作コミックの累計発行部数1億1,000万部を超える世界的人気漫画のコラボは、国境を越えて多くの人々に支持された、まさにワールドワイドな好事例といえるでしょう。

6-7. SHIBUYA MULTIVERSE

出典:ソニーグループ株式会社

ソニーグループ株式会社は、フォートナイト上にSony Esports Projectとして制作した新オリジナルマップ「SHIBUYA MULTIVERSE」を2023年6月21日に公開。
本マップは、株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給の映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の公開を記念して、映画の世界観にあわせて東京・渋谷を再現したもの。フォートナイト向けのクリエイティブツールUEFNを使用して、実際に映画とのコラボレーション企画が実施された「SHIBUYA109 渋谷店」を中心に、渋谷の街並みを特別仕様で再現しました。今後、アップデートによりゲーム体験が追加される予定です。
また、Sony Esports Projectは、eスポーツの真剣勝負が生み出す熱量をソニーの多様なテクノロジーやコンテンツIPと融合することで、エンタテインメント性が高いeスポーツ体験をより多くの方に届けることを目指すソニーの取り組みです。フォートナイト上にゲームや体験を設計し開発できるUEFNを使用して制作したオリジナルマップ「Sony Esports Maps」を活用し、ユニークなeスポーツ体験を提供していくそうです。

6-8. HONDA

出典:GANYMEDE株式会社

2023年3月、本田技研工業株式会社(以下、Honda)は、GANYMEDE株式会社が運営するZETA DIVISIONとのコラボレーションにより、フォートナイトにオリジナルのゲームマップを公開しました。
架空の未来都市「Honda City」を舞台に、プレイヤーは謎解きやアスレチックなどさまざまなステージをクリアしていくアクションゲームです。マップ内にはHondaの人気車種「CIVIC TYPE R」や「CRF250R」、未来の空のモビリティー「eVTOL」などが登場し、プレイヤーがゲームを攻略する上での重要な要素として活用されます。
自動車販売台数が減少している現在、Hondaはゲーマー層への認知度向上とエンゲージメントを目指しています。

まとめ

さまざまな企業が独自の戦略を用いて、α世代やZ世代との新たなエンゲージメントを獲得し始めています。これはフォートナイトが単なるゲームプラットフォームを超える存在であることを示しているといえるでしょう。
メタバースは未来の消費者であるα世代に向けたアプローチだとすると、ゲームの世界から認知を取りに行くことが重要です。海外にもアプローチできる上に、従来の広告手法を超越する新しい広告手法にもなり得るため、ブランドや企業の今後のマーケティングとエンゲージメント戦略として導入をご検討ください。
トランスコスモスは、株式会社EbuAction(代表取締役社長:野田慶多)が株式会社NEIGHBOR(代表取締役:ノトフ)と共同運営する、フォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」とパートナーシップを締結しました。NEIGHBORで培ったノウハウを活かし、フォートナイト上にお客様企業独自のマップを短期間で高クオリティに制作します。
フォートナイトを活用したマーケティングやエンゲージメント施策に関するご相談は、お気軽にトランスコスモスにお問い合わせください。

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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