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コラム

2024/02/15

Fortnite(フォートナイト)を活用した海外向けマーケティング事例

Fortnite(フォートナイト)を活用した海外向けマーケティング事例

©2023, Epic Games, Inc.

Z世代やα世代を中心に5億人ものユーザーを抱える「Fortnite(フォートナイト)」。ゲームの枠を超えたメタバースプラットフォームとして、多様な可能性を秘めています。
現在では、日本国外をターゲットとした海外マーケティングの新しいフィールドとしても注目されており、日本国外に住んでいるユーザーや北米ユーザーをターゲットに、海外ユーザーへのリーチやブランド認知が可能となります。
今回は、改めてフォートナイトが注目される背景と新たな可能性、ゲームをコンテンツとした海外マーケティング事例を紹介します。

Fortnite(フォートナイト)とは?

©2023, Epic Games, Inc.

Fortnite(フォートナイト)は米Epic Gamesが2017年にリリースした、基本プレイ無料のオンラインゲーム。Nintendo Switch、PS4/5、Xbox、PC、モバイル端末などのデバイスからプレイ可能となっており、ゲーム機しか所持していない小さな子どもから大人まで、誰もがフォートナイトにアクセス可能です。
最後まで生き残ることを目指して100人のプレイヤー同士で争う「バトルロイヤル」モードが代表的ですが、制作したコンテンツを公開できる「クリエイティブ」モードなどのゲームモードが存在します。人気の「クリエイティブ」モードでは、自分の島で自由にコンテンツを制作・公開することが可能。自分で作ったゲームをフレンドと遊んだり、他ユーザーが公開したゲームをプレイしたりして、楽しむことができます。現在では世界中のクリエイターがオリジナルの島を公開しており、多くの人が遊ぶことで収益になる仕組みも導入されました。「バトルロイヤル」のイメージが強いフォートナイトですが、特に海外シーンでは「クリエイティブ」モードが大きな盛り上がりを見せています。

1-1. フォートナイトはゲームからメタバースプラットフォームへ

フォートナイトはゲームの枠を超え、メタバースプラットフォームとして注目を集めています。
2023年第4四半期のデータによると、総ユーザー数は5億人以上、MAU(月間アクティブユーザー数)は9,000万人を超え、国内だけでも推定MAUは500万人を有し、圧倒的なユーザー数を抱えるメタバースへと発展しています。
フォートナイトはゲーム以外にも、国内外の有名アーティストの音楽ライブや、IP(知的財産)ホルダーとのコラボ、グローバルブランドの参画、オリンピックeスポーツなど、さまざまな用途で活用されています。
圧倒的なユーザー数による集客力の高さと未来の消費者層であるα世代やZ世代の若年層の多さから、ビジネス界でも世界中の企業が新たなマーケティングのフィールドとして注目しています。

フォートナイトの進化と新たな可能性

ここからは、フォートナイトのメタバースとしての進化や、新たな可能性について解説していきます。フォートナイトのメタバース化や、UCG(ユーザー生成コンテンツ)化に向けた大きな転換と言えるでしょう。

2-1. Unreal Editor for Fortniteの提供

フォートナイトにおけるメタバースとしての可能性に注目が集まるきっかけになったのが、2023年3月23日にEpic Gamesがリリースした「Unreal Editor for Fortnite」(以下、UEFN)の登場です。
UEFNに搭載された数多くの機能により、フォートナイトで作成できるゲームの自由度が大きく広がりました。この機能は、同社が開発した強力なゲームエンジンである「Unreal Engine5」を利用しています。
これまでも「クリエイティブモード」でオリジナルの島を制作することはできましたが、UEFNを使うことでフォートナイトにはないオリジナルの建物やキャラクターをゲーム内に配置したり、ポストプロセスなどを使った多彩なビジュアル表現ができたり、あるいはVerseと呼ばれるプログラミング言語を用いた高度なゲームルールの実装が可能になります。さらに、PC向けのアプリケーションとなったことで操作性が大きく向上し、数多くのAAAタイトル*開発に使用された実績のあるUnreal Engineの見た目や操作性を引き継ぐことで、これまで以上に本格的なオリジナルゲームを開発できるようになりました。
このUEFNの登場により、既存の「クリエイティブモード」よりも開発がしやすくなったことで、自分で島を作るプレイヤーやクリエイターが急増し、より多くの人がフォートナイトをプレイするようになったという背景があります。

*莫大な開発費を投じて作られたゲーム

2-2. クリエイターエコノミーの創出

さらに、2023年3月23日に開催された「GDC2023」にて、Epic Gamesはフォートナイトのクリエイターに向けた新たな収益システム「クリエイターエコノミー2.0」を発表しました。この仕組みは、プレイヤーの楽しみ方に応じて島のクリエイターが収入を得る新しい方法で、Epic Gamesが得た純利益の40%を上限としてクリエイターに分配していく「エンゲージメント配当(Engagement Payouts)」を導入しました。Epic Gamesが認める条件を満たす必要がありますが、島で遊ばれた人数・時間に応じて収益を得ることが可能です。それ以降、日本でもUEFNを使って独自マップ(島)の収益化に挑む企業・個人クリエイターが急増しています。
このように、フォートナイト上でのコンテンツ作成に対して報酬を支払うことで、今後さらに多くのクリエイターがフォートナイト上で独自のコンテンツを公開し、より多くの人にプレイされるゲームになることを目指しているものと思われます。

2-3. 企業コラボレーションの実施

また、フォートナイトは企業とのコラボレーションも積極的に行っています。フォートナイトのコミュニティに着目し、コラボをしているグローバル企業やIPも少なくありません。例を挙げると、LEGOやNIKE、PUMAといったグローバル企業や、『ドラゴンボール』や『スター・ウォーズ™』といったIPがすでにコラボを実施しています。特別なゲームモードを公開したり、ゲーム内の限定アイテムを展開したり、コラボ商品を発表したりするなど、コラボレーションの形もさまざまです。
また、UEFNの登場によってゲーム開発の自由度が高まったことから、企業はこれまで以上に独自のコンテンツを作りやすくなっており、企業やIPとのコラボレーションは今後もさらに広がっていくものと考えられます。

ゲーム内での体験とマーケティングの融合

Epic Gamesは、フォートナイト内でのユニークなコラボレーションを通じて、新しいマーケティング領域を探求しており、世界中のあらゆる世代にアプローチしています。
たとえば、『ドラゴンボール』とのコラボレーションでは、プレイヤーは誰でも特定のスキルを使うことができますが、キャラクターになりきるためには特別なスキンを購入する必要があります。これは、従来の収益モデルを進化させる新しいアプローチです。また、LEGOとのコラボレーションを通じて、フォートナイトですでに活動しているα世代の子どもたちと親世代へのリーチを可能にしました。これらのコラボレーションは、ゲームコンテンツを通じて実際のマーケティング戦略として機能しており、さらに幅広いユーザー層にリーチしています。 フォートナイトという巨大なプラットフォームを利用したマーケティングは、企業にとって非常に大きなチャンスと言えるでしょう。ゲーム内でのユニークなプレイ体験は、企業が自社ブランドや商品をプロモートするための新たな方法を提供しています。

フォートナイトなら訴求しづらい海外へのリーチが可能

海外マーケティングでは、日本で当たり前になっているビジネスのやり方がそのまま通用するとは限りません。自社ブランドや商品・サービスを海外にリーチさせたい場合には、言語や文化、訴求したい国のトレンド、商習慣、法律や関税などを考慮した上で、国や地域、現地独自のルールに沿ってマーケティングを行う必要があります。
しかし、フォートナイト上のマーケティングは全世界共通の人気コンテンツである「ゲーム」を制作するだけで、通常では訴求しづらい海外ユーザーへのリーチやブランド認知が可能となります。
この特性に目を付けたグローバルで事業を展開する国内企業が、フォートナイトに参入する事例も増えています。

フォートナイトを活用した海外マーケティング事例

ここからは、フォートナイトを活用した海外マーケティング事例を紹介します。

5-1. 森永アメリカ「HI-CHEW」

画像引用元:PR Newswire

海外で「HI-CHEW(ハイチュウ)」というブランドで展開されている、森永製菓のソフトキャンディ「ハイチュウ」。アメリカで2022年1月に発売された「HI-CHEW<fantasy mix>」は、2022年全米で最も売れたキャンディでした。
同社は、米Super League Gaming社とのコラボレーションにより、2023年10月12日~11月7日のハロウィーン期間限定で、フォートナイト上にキャンディいっぱいのゲーム体験を提供。「Hiding Game」「Lucky Blocks」「Troll Free For All」の3つのミニゲームを通じて、プレイヤーはハイチュウに出会い、サプライズに遭遇して、ハイチュウ体験に浸ることができます。 今回のフォートナイトの期間限定コラボについて、「フォートナイトのプレイヤーの半数以上がZ世代に該当するため、このコラボレーションにより、より楽しく、魅力的な方法で、ターゲット消費者にリーチできるようになります」と、森永アメリカCEOの河辺輝宏氏は述べています。ユニークなゲーム内体験を提供して、アメリカをはじめとした消費者へのブランド認知をさらに高めることに成功しています。

5-2. 映画『すずめの戸締まり』を再現したメタバース

株式会社NEIGHBOR

新海誠監督の映画『すずめの戸締まり』の舞台を再現したメタバースがフォートナイトで制作・公開されました。本マップは株式会社NEIGHBOR株式会社Tokyo Otaku Modeが公開しており、制作は第三新東京市や渋谷を再現したワールドなどを手掛けた高校生クリエイターヤノスさんが担当しています。
『すずめの戸締まり』は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語です。フォートナイトのメタバースでは、映画の象徴にもなっている“扉”を再現し、平面であるアニメの空気感をそのままに3D化し、劇中でキャラクターたちが居た空間に遊びに行くことができます。
日本国内では2022年11月から公開され、観客動員数1,100万人を突破。海外では2023年3月から順次公開され、海外観客動員数3,400万人を突破し、世界最大の映画市場である北米においてもヒットの目安となる興行収入1,000万ドルを超えました。日本アニメが映画興行においても、日本より海外で大きな興行収入を実現する新たな潮流が起き始めています。

5-3. Netflixアニメ伊藤潤二『マニアック』を再現したメタバースお化け屋敷

株式会社NEIGHBOR

日本を代表するホラー漫画家の1人である伊藤潤二氏の作品をアニメ化するシリーズ作品「伊藤潤二『マニアック』」が、Netflixで2023年1月19日より全世界で配信されました。株式会社NEIGHBORは、同作をモチーフにしたメタバースお化け屋敷を2023年2月1日に公開し、その翌日には同メタバースがフォートナイト公式の『EPIC’S PICKS(イチオシ)』に掲載され、1ヶ月間で来場者が50万人を突破するなど、海外で話題になりました。
同メタバースは日本だけでなく、アジア各国、アメリカ、ヨーロッパ、ブラジル、中東、オセアニアなどのサーバーでの来場者を確認しています。公開からわずか3か月で120万人が突破してからも順調に来場者数を伸ばしており、世界中でコンスタントに遊ばれている状況が続いています。
メタバースを通じて既存のファンは世界観を体験することができ、フォートナイトでのプレイをきっかけに関心を持ったユーザーを作品へと誘導できる、新たなコンテンツプロモーションの手法であると言えるでしょう。

5-4. 米国セブンイレブン

画像引用元:7-Eleven, Inc.

米セブンイレブンがフォートナイトに公式ワールド「There Car」を制作・公開し、Instagram・Twitterアカウントと連動した写真投稿キャンペーンを行いました。このキャンペーンは、米セブンイレブンの宅配アプリ「7NOWⓇ」の利用促進を狙いとし、2023年8月11日から25日まで期間限定で開催され、参加者は米セブンイレブンのInstagram・Twitterアカウントを両方フォローし、フォートナイトの特定エリアに隠された3つの自動車を見つけると公式ワールド「There Car」に入場できます。「There Car」にはさまざまなイースターエッグ(おまけ要素)が配置されており、ワールド内で撮影した写真を投稿すると、「7NOWⓇ」で利用できる500ドルのクーポンが抽選で当たります。
Instagramで自動車コミュニティとの関係を何年にもわたって育んできた米セブンイレブンは上手く自社の店舗を活用して、フォートナイトの3つのマップで究極の宝探しにバーチャルで集まるようファンを招待することで、自動車コミュニティを次のレベルに引き上げています。フォートナイトを活用することで、ブランドファンのみならず、自動車愛好家、ゲーマーを惹きつけた、北米向け店舗施策キャンペーンの好事例です。

まとめ

フォートナイトがマーケティングに採用される背景には、メタバースプラットフォームの中でも圧倒的なユーザー数と高い集客力、対応デバイスの広さ、Z世代やα世代にリーチが可能であることなどが挙げられます。また、訴求しづらい海外ユーザーへのリーチが可能であることから、海外マーケティングのフィールドにフォートナイトを選ぶ企業は増えています。トランスコスモスは、株式会社EbuAction(代表取締役社長:野田慶多)が株式会社NEIGHBOR(代表取締役:ノトフ)と共同運営する、フォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」とパートナーシップを締結しています。NEIGHBORで培ったノウハウを活かし、フォートナイト上にお客様企業独自の島を短期間で高クオリティに制作します。フォートナイトを活用した海外マーケティングやエンゲージメント施策に関するご相談は、お気軽にトランスコスモスにお問い合わせください。

▼フォートナイトについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
Fortnite(フォートナイト)とは?5億人がハマる魅力やビジネス活用事例を解説

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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