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コラム

2024/03/14

SNSメタバースとは?人気の理由と有名プラットフォームを解説

SNSメタバースとは?人気の理由と有名プラットフォームを解説

スマホネイティブであるZ世代にとって、SNSは日常に欠かせないツールです。InstagramやTikTokなどを使って、友人との交流や趣味などの情報収集に励んでいます。そんなZ世代が新たに注目しているのがSNSメタバースです。メタバース技術を活用したSNSは既に普及しており、全世界で利用者を伸ばしつつあります。なかでも韓国に本社を置くNAVER Zが運営する「ZEPETO」は、約4億6,000万人の利用者数とMAU(Monthly Active Usersの略。月間アクティブユーザー数)2,000万を有する大規模ソーシャルユニバースとして進化を遂げました。
SNSメタバースの利用は広がりを見せており、Z世代やα世代が利用しているツールとなっています。本記事では、SNSメタバースの概要や今後のSNSについて解説します。

メタバースとは

メタバースは超越を意味する「Meta(メタ)」と、宇宙や世界を表す「Universe(ユニバース)」を組み合わせた造語です。メタバースとは、オンライン上で自身のアバターを介して、現実世界と同じような体験や交流が可能な仮想空間を指します。メタバースでは、人々は自身のアバターを通じて、新たな世界を探索・創造し、共有することができるのです。

メタバースの種類

メタバースは、さまざまな用途で利用することが可能です。その種類は、以下の4つに分類されます。

2-1. ゲーム型メタバース

ゲームをプレイすることができるメタバースを指します。ユーザー自身が制作したゲームを他のユーザーが楽しめるUCG(ユーザー生成コンテンツ)としても人気が高く、ゲーム版YouTubeとも称されています。
ゲーム内でリアルタイムでのユーザー同士のコミュニケーションが活発に行われている点や、アーティストのライブなどゲーム以外での利用もされている点、企業がオリジナルのマップやワールドや制作し、PRやブランディング、マーケティングに活用されている点から、世界を代表するメタバースプラットフォームと言われています。

2-2. ソーシャル型メタバース

他ユーザーとコミュニケーションを取ることに重きを置いたメタバースを指します。自分好みのアバターを簡単に作成でき、チャットや通話、SNS投稿などを通じて他ユーザーと交流することが可能です。

2-3. Web3型メタバース

ブロックチェーン技術を利用して作られたメタバースを指します。ユーザーは空間内でNFTや仮想通貨を用いて商業活動をすることができ、収益を得ることが可能です。

2-4. MaaS(Metaverse-as-a-Service)型

誰でもメタバースを利用・作成できるサービスです。MaaS系のメタバースは企業でも個人でも利用することができ、料金を支払うことで指定されたメタバースの空間を自由に使用することができます。
メタバースのビジネス用途としては、

  • 展示会等のイベント・交流会
  • セミナー・発表会
  • バーチャルライブ
  • ショールームの設置
  • 住宅展示場・モデルハウス
  • バーチャルオフィス・バーチャル会議室
  • 教育・トレーニング
  • バーチャルショップ・バーチャルマーケット

などがあります。

従来のSNSとの違い

SNSメタバースは、既存のSNSと比較した時にどのような違いがあるのでしょうか。その違いについて解説します。

3-1. 従来のSNSにはないコミュニケーションができる

従来のSNSではテキスト上でコミュニケーションを取りますが、メタバースSNSはボディランゲージによる意思疎通が可能です。また、相手のアバターと握手をするなど、より現実に近いコミュニケーションを取ることが可能になります。もちろん、テキストやボイスチャットで会話することも可能で、従来のSNSとして扱うこともできるため、ユーザーの取れるリアクションが増えている点も魅力です。
フルボディトラッキング技術(身体の動きをアバターに反映する技術)の発達により、アバターの動きが現実世界に近づきつつあります。デバイスの進化によって表情の変化が反映されるようになり、バーチャル空間内での感情表現が一層豊かになったといえるでしょう。

3-2. 現実との切り分けができる

メタバースSNSは仮想空間の中でコミュニケーションが生まれるため、自分がその世界にいるような没入感が特徴です。メタバースは「仮想空間」という位置づけのため、理想の自分、現実とは違う自分を簡単に表現し、現実世界と切り分けて楽しむことができるツールと言えるでしょう。仮想空間の中でアバターを自由にカスタマイズしたり、デジタルファッションを着用させたり、アバターを通じて制限なく自由に自己表現しています。一方、従来のSNSはメッセンジャーアプリとしての側面が強く、現実世界の延長線として扱われています。
双方のアプリを使用するユーザーの中では、現実世界と仮想世界の切り分けが進んでおり、現実世界のコミュニケーションツールとして従来のSNSを使用し、バーチャル世界を楽しむためにメタバースSNSを使用しており、根本的に違うツールとして活用されています。

3-3. 仮想空間内で新しい経済圏が生まれる

仮想空間内での雇用が既に始まっており、メタバースSNSを介してビジネスが成立している事例も散見されます。メタバース空間内のワールド自体や、アバターに使用する洋服やアクセサリーなどを作成する3DCGクリエイターも増えており、新たな市場が形成されつつあると言えるでしょう。
従来のSNSが持つコミュニケーションツールとしての枠組みを飛び出し、メタバース領域ならではの経済圏が発展すると考えられています。仮想現実で1日の大半を生活しているユーザーも珍しくなく、市場規模の拡大が予想されています。

ユーザー数の多いSNS型メタバースプラットフォーム

現在リリースされているSNSメタバースにはどのような特徴があるか、プラットフォームの概要を解説していきます。

4-1. ZEPETO

画像引用元:NAVER Z Corporation

韓国に本社を置くNAVER Zが運営する「ZEPETO」は、アジア最大のメタバースプラットフォームです。カメラアプリで有名な「SNOW」から派生したソーシャルアプリで、総ユーザー数は4億6,000万人(2023年11月時点)、MAUは2,000万(2023年第4四半期)を突破しています。ユーザー層はZ世代とα世代が全体の9割を占めており、女性比率が7割以上という点も特徴です。
ZEPETOがZ世代の女性を夢中にさせる理由は、ソーシャル活動とUGC(ユーザー生成コンテンツ)制作にあります。GUCCIやAmi Parisといった有名ブランドとコラボレーションをしており、アバターが身に着けるアクセサリーやメイク、ネイルまで400万以上ものカスタマイズが可能で、アバターを通じた自己表現が可能です。また、アバターのポーズやダンスを撮影して他SNSでシェアしたり、ワールドに集まってアバター同士でテキスト/ボイスチャットやゲームによる交流ができたり、メタバース上でアバターを軸としたソーシャル活動が行えます。
さらに、「ZEPETO Studio」を介した数百万人のクリエイターが活発にUGC(ユーザー生成コンテンツ)を制作する数少ないプラットフォームであり、生成されたコンテンツ数は50億個を超えています(2023年11月時点)。誰もが理想の姿で仮想世界の中で自分を表現し、他ユーザーとのコミュニケーションをしながら、クリエイターとして成長できる新しい形の創作ツールといえるでしょう。
ZEPETOには120を超えるグローバルブランドやIPコンテンツが参入しており、さまざまなファッションアイテムの販売やイベントを通して、マーケティングやブランディングに活用されています。数あるメタバースの中でも、特にファッション感度が高いZ世代がハマっているメタバースがZEPETOです。

4-2. VRChat

画像引用元:バーチャルマーケット公式サイト

VRChat」は、VRデバイスを装着してアバターの姿になり、多人数でコミュニケーションができるソーシャルVRプラットフォーム。友達とのおしゃべりはもちろん、音楽ライブへの参加、VRゲームやVR旅行など、広大なバーチャルな世界へアクセスできます。昨今ではVRデバイスを通じてメタバースにアクセスするユーザーが大幅に増加しており、MAUは2,000万(2023年第4四半期)を突破。現在ではメタバースとしても注目されています。
VRChat内には、ユーザーが手掛けた無数の「ワールド」と呼ばれる空間が用意されており、好きなワールドで世界中のユーザーとの交流を楽しめます。周囲にいるユーザーとはボイス/テキストチャットはもちろん、自分の身体の動きをアバターに反映させることでボディランゲージも可能です。さらに、ワールドも自分で制作し、自由に公開することができます。
また、VRChatでは、ユーザー主体のイベントや、公式公認の有料イベントなどが数多く開催されており、その熱量は年々高まっています。世界最大のVRイベントバーチャルマーケットが毎年開催されており、延べ120万人以上の来場者数を記録。また、サンリオによる世界最大級バーチャル音楽フェス「SANRIO Virtual Festival」は総来場数230万を超え、音楽フェスの域を超えて参加者が繋がる“VRテーマパーク”として好評を博しています。VRChatはコミュニティの熱量が高く、現在も大きな盛り上がりを見せています。

4-3. Bondee

画像引用元:Bondee

シンガポールに拠点を置くスタートアップ企業のMetadreamが開発・運営している「Bondee」は、次世代メタバースSNSアプリ。2022年12月から配信が開始され、2023年7月現在のGoogle Playからのダウンロード数は世界で500万を突破しています。株式会社アイ・エヌ・ジーが運営する「渋谷トレンドリサーチ」が2023年4月6日に発表した「2023年春!高校生最新トレンドランキング」で、今流行っている物事の5位にランクイン。流行の最先端であるZ世代の10代を中心に、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどでも話題となりました。
Bondeeは、ゆるかわのアバターを作成し、友達と連絡が取りあえるメッセンジャーアプリとして活用されています。SNSとしてはめずらしく、友達の上限が50名と少なめに設定されており、他のSNSよりもクローズドなコミュニケーションを取れる点が特徴です。また、人に見せるためのアクションではなく、自分のアバターや部屋をカスタマイズすることで自己表現し、それを介して友達とゆるく繋がれるといった特徴があります。
BondeeはLINEなどのメッセンジャーアプリと似たような立ち位置となりますが、「勉強中」「残業中」「おふろ中」など現実世界とリンクして、自分の今の状態を表現できるステータスを設定することができ、ステータスに応じてアバターがアニメーションで動きます。メタバースを取り入れた新たなSNSとして注目されており、相手のステータスに合わせて連絡を取りやすい点がメリットといえるでしょう。現代のSNS疲れといった背景がある中で、Bondeeのゆるさが魅力と捉えられ、ユーザー数を伸ばしています。

SNSメタバースがもたらす変化

ここからは、SNSメタバースがもたらす変化について解説します。従来のSNSで生まれた文化や流行によって、私たちの生活、価値観までもが変化し続けているように、メタバースが進化して私たちの生活に浸透するようになれば、より大きな変化が訪れる可能性があるでしょう。

5-1. 誰もが理想の自分になれる

先述したように、メタバースSNSと、従来のSNSにメタバース要素が加わり、現実世界のようなコミュニティが形成されつつあります。まるでその世界にいるような没入感が強みであり、従来のSNSでは味わうことのできない体験を可能としました。
従来のゲームなどで利用されていたアバターは、架空の世界のキャラクターのような位置付けでしたが、メタバース空間においては、人種の違いや、性別や年齢、容姿などを気にせずに、誰もが理想の自分になりきり、「なりたい自分で生きていく」ことができるのです。体が不自由な方や高齢者でも、メタバースの世界では制限なく自由に動けたり、激しいスポーツをしたりすることも可能になります。このように、リアルの世界で実現できなかったことを、メタバースでは叶えることができるのです。

5-2. 誰もがクリエイターとして活動できる

クリエイターエコノミーとは、これまでユーザーとして経済活動に参加していた個人が、インスタグラマーやYouTuberのような発信・販売側になれる双方向の経済圏のことを指します。SNSメタバースの中にも、ユーザーとして楽しむだけでなく、空間自体やアバターが着用するアイテムなどを作成し、収益化することが可能です。
たとえば、ZEPETOではユーザーがさまざまなコンテンツを制作、販売できるツール「ZEPETO Studio」を提供し、クリエイターエコノミー活性化の原動力となっています。ZEPETO studioの累積加入者数は343万人に上り(2023年8月時点)、累積販売数は1億8,400万個を突破しました(2022年9月時点)。

5-3. インフルエンサーの活躍の舞台も移り変わる

近い将来、インフルエンサーの活躍の舞台がメタバースに移り変わり、これまで以上にコミュニティマーケティングの必然性が高まっていると考えられます。
インフルエンサーマーケティング事業を展開するLIDDELL株式会社が、30,000人のインフルエンサー会員の中から、5,000人以上のフォロワーを持つインフルエンサーをランダムに100名選定しアンケートを実施したところ、なんと81.4%が「SNSからメタバースに移って活動したい」と答えたことがわかりました。インフルエンサーの捉え方は、メタバースはSNSの延長線上にあり、三次元に拡張されてアバターでフォロワーと一斉に交流できるコミュニティといったイメージで、メタバースへの期待は「インフルエンサーとしての活躍の場が広がる」ことでした。インフルエンサーの興味関心は高く、既に持ち合わせているコミュニケーション力やクリエイティブ力がより一層活かせる場として期待していることが明らかとなり、すでにメタバースで活動するインフルエンサーもいました。

出典:【LIDDELL調査】 メタバースへ強い興味!インフルエンサーの81.4%がメタバースで活動したいと回答。期待することは、「交流」や「擬似体験」のコミュニティ。

まとめ

人々がスマホでInstagram、TikTokを使いこなすようになってから、何千人・何万人というフォロワーとの交流が活発化しました。YouTuberは働くことに関する「時間の制約」と「空間の制約」から人々を解放しました。
同じような価値基準の転換は、メタバースでより進化していくと考えられます。時間や空間の制約だけでなく、「身体の制約」からも解放され、「好きなことをやって生きていく」からさらに一歩進み、「なりたい自分で生きていく」という流れに変わっていくのではないでしょうか。今後はSNSメタバースを活用して、自己表現する人やクリエイターとして活動をする人がますます増えていく可能性を秘めています。
SNSメタバースを活用したマーケティング施策や、企業のオリジナルワールドの制作に関するご相談は、お気軽にトランスコスモスにお問い合わせください。

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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