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コラム

2024/03/15

CX(顧客体験)そのものをメタバース上に展開したビジネス事例を紹介

CX(顧客体験)そのものをメタバース上に展開したビジネス事例を紹介

近年、デジタル技術の普及により、商品の購買やサービスを利用する瞬間以外にも、顧客と繋がり続けられるようになりました。また、メタバースの技術が発展したことにより、ゲームや物販、エンタメなどのCX改革に取り組む企業も増えています。 しかし、メタバースをCXに活用するべきだといわれても、何から手を付けたらよいのかわからない方も多いでしょう。そこで今回は、顧客体験(CX)そのものをメタバース上でビジネス展開しているCX事例をご紹介します。

顧客体験(CX)そのものに顧客が対価を支払う時代へ

リアルビジネスが「モノ売りからコト売り」時代を迎え、CXそのものの体験価値などに顧客が対価を支払う時代に突入しました。CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、機能・性能・価格といった「合理的な価値」だけにとどまらず、ワクワクする・安心できるといった「感情的な価値」を含むサービスすべての体験を指すものです。
モノ売りビジネスにおけるCXは、顧客が購入に至るまでのハードルをいかに取り除いていくかが重要です。コト売りビジネスにおけるCXは、顧客体験に「価値」があり、いかにCXで対価に見合った魅力を感じてもらうかが重要で、単なる簡便性にとどまらない価値の提供が必要です。
一方、「顧客体験(CX)自体を売る」ことを可能にしているのがメタバースで、従来のEコマースとの最大の違いであり、現実世界とは違った新しい体験を顧客に提供できることから、ブランディングやマーケティングでの活用が広がっています。

ユーザー数の多いメタバースプラットフォーム

現在、メタバースに近いといわれるプラットフォームの多くは、ゲーム企業が開発・運営するものです。ゲーム業界はメタバースが注目されるかなり以前から、顧客体験(CX)そのものを商材にビジネスを展開し、多くのファンを獲得してきた歴史があります。ここでは、ユーザー数の多いゲーム型およびSNS型メタバースの概要を解説します。ユーザーは仮想空間のアバターを通じて、リアルでは体験できないCX(顧客体験)を手に入れている点が特徴です。

2-1. Fortnite(フォートナイト)

©2023, Epic Games, Inc.

フォートナイトは、米Epic Gamesが開発・運営するオンラインのバトルロイヤルゲーム。総ユーザー数は5億人以上、月間アクティブユーザー数(以下、MAU)9,000万人を誇り、2017年のリリース以降、Z世代とα世代を中心に世界中で爆発的な人気を博しています。
フォートナイトはゲームだけにとどまらず、国内外の有名アーティストのバーチャルライブや、漫画やアニメなどのIP(知的財産)ホルダーとのコラボ、グローバルブランドや有名企業の参画、オリンピックeスポーツへの採用など、さまざまな用途で活用されるメガプラットフォームを形成しています。
同社は2023年3月23日、フォートナイト向けのクリエイティブツール「Unreal Editor for Fortnite」(以下、UEFN)を発表。5億人のユーザーを抱えるオンラインゲームに向けて、クリエイターがさらに本格的なコンテンツを作成し、公開できるようになりました。UGC(ユーザー生成コンテンツ)提供プラットフォームとして、他ユーザーが公開したゲームをプレイしたり、自身でゲームを制作したりできる「ゲーム版YouTube」を目指しています。フォートナイトはユーザーとの共創や独自の経済ルールが構築されるなど、もっともメタバースに近いプラットフォームだと言われています。

2-2. Roblox(ロブロックス)

画像引用元:Roblox

Robloxは、世界的な人気を得ているオンラインゲームプラットフォームです。2004年に米国で設立され、α世代を中心に爆発的にユーザーを獲得し、21年3月にニューヨーク証券取引所に上場しました。Robloxは2023年第4四半期に大きなマイルストーンを達成し、MAUは2億5,000万を有する、世界を代表するメタバースの1つです。
ゲームを題材としたUGC提供プラットフォームとして、専用ゲームエンジン「Roblox Studio」で950万人がクリエイターとしてゲームを制作・公開しており(2022年1月時点)、自由に遊べます。プレイヤーの半数以上が13歳以下の小学生であることから「放課後の遊び場」、その高い収益性から「ゲーム版YouTube」とも呼ばれています。
また、UGCプラットフォームとしてだけでなく、グローバルブランドや有名企業とのコラボ、教育現場での活用など、多用途化している点がRobloxの特徴です。「Robux(ロバックス)」という独自の仮想通貨が流通する活気のある仮想経済を築きつつあります。

2-3. ZEPETO(ゼペット)

画像引用元:ZEPETO

韓国に本社を置くNAVER Zが運営する「ZEPETO(ゼペット)」は、アジア最大のメタバースプラットフォームです。元々はカメラアプリで有名なSNOWから派生したソーシャルアプリで、2018年8月のアプリリリース以降、総ユーザー数は4億6,000万人以上、MAU2,000万人を有し、Z世代とα世代が全体の9割を占めています。また、ユーザー層の女性比率が7割以上という点も特徴です。
ZEPETOでは最先端のファッションアイテムが多数公開されており、理想通りのアバターをいくつも作成することができます。アバターのポーズやダンスを撮影してSNSでシェアできたり、ワールドに集まってアバター同士でテキスト/ボイスチャットやゲームによる交流ができたりと、メタバース上でアバターを軸としたソーシャル活動が行えます。
また、「ZEPETO Studio」を介した数百万人のクリエイターが活発にUGC制作する数少ないプラットフォームであり、生成されたコンテンツ数は50億個を超えています。多くのユーザーがワールドを活用したUGCを各種SNSに投稿しており、特にTikTokでは多くの実況動画が投稿されています。

メタバースのCX好事例

メタバースの本質は、あらゆる物理制約から解放され、現実世界では提供できない体験を実現できる点です。ここ数年、多くのブランドやクリエイターがフォートナイトやRoblox、ZEPETOなどのメタバースプラットフォームを活用し、顧客体験(CX)そのものをビジネスとして展開している事例が増えてきています。ここでは、メタバース上でCXを提供している事例を紹介します。

3-1. LEGOとEpic Gamesのコラボレーション「レゴフォートナイト」

©2023, Epic Games, Inc.

LEGOとEpic Gamesがコラボレーションを開始し、2023年12月7日「レゴフォートナイト」という新しいオープンワールドゲームをリリースしました。
デンマークの人気玩具ブランドのLEGOは、 自社商品およびIPとゲームとの融合に努めており、PCゲームの記念すべき第1弾として「LEGO ISLAND(日本語版は「レゴアイランドの大冒険」)」を1997年に販売。以来、同社は「レゴ®スター・ウォーズ™」や「レゴ®インディ・ジョーンズ™」といったゲーム(ダウンロード版含む)を数百万本以上販売し、ゲームを通じて顧客エンゲージメントを維持する方法を熟知しています。今回のパートナーシップは、Epic Gamesにとっても重要であり、「フォートナイト」をファミリーフレンドリーにすることで、他のプラットフォームからのオーディエンスを惹きつける狙いがあります。同時に、LEGOグループは、自社のコア商品とIPマーケティングにフォートナイトゲームを活用することでクリエイターの可能性を広げることになり、Epic Gamesと提携する最大の成果と言えるでしょう。
「レゴフォートナイト」のゲームワールドは、「フォートナイト:バトルロイヤル」の20倍の大きさであり、そこにプレイヤーはバーチャルなレゴブロックで無数の建造物を作って住むことができます。つまり、レゴブランドの商品展示を実体験する行為といえるでしょう。このゲームワールドには、およそ1万種のレゴブロックを忠実に再現してあり、このゲーム内で目にするものは何でも、レゴブロックを使って実際に現実世界で再現できるようになるとのことです。
LEGOグループにはすでに独自のゲーミング部門がありますが、今回のEpic Gamesとの提携を介したメタバースプラットフォームの構築は、フォートナイトですでに活動している5億人ものプレイヤーとの繋がりを可能にしました。また、LEGOグループが持つデジタルコンテンツには6,400万人もの子ども会員がいます。今回の提携により、子どもたちにリーチすることはもちろん、さらなるエンゲージメントを高めていく考えです。LEGOとフォートナイトのコラボは、顧客体験(CX)そのものをビジネスとして展開している好事例と言えます。

3-2. NIKEがRobloxで作ったメタバース「NIKELAND」

引用:NIKE

スポーツとゲームの共通点はプレイすることですが、Robloxの中でナイキのファン同士が繋がり、創作し、体験を共有したり競い合ったりすることができる「NIKELAND」を、2021年11月に開設。スポーツと遊びをライフスタイルに変えるという目標に基づいて、NIKEはRobloxの没入型3DスペースにNIKE本社を背景にした独自の世界を作りました。
NIKEのバーチャル・テーマパーク「NIKELAND」では、ユーザーは鬼ごっこやドッジボールといったゲームを楽しめたり、ユーザー自身がゲームを作れたり、Robloxのアバターで着用可能なNIKEとのコラボ製品などを購入できます。さらに同年12月、デジタルファッションに特化したブランド「RTFKT(アーティファクト)」を買収し、バーチャル製品やWeb3関連の制作・展開を行う「Nike Virtual Studios」を立ち上げるなど、メタバースに向けた体制構築を進めてきました。
2022年2月には、NBAのスター選手であるレブロン・ジェームズ氏が「NIKELAND」を訪れるイベントを開催。レブロンはバスケについて語り、ファンとハイタッチを交わし、バスケや体を動かすゲームをプレイし、NBAファンやRobloxユーザーとのコミュニケーションを図りました。このような継続的な取り組みにより、「NIKELAND」には195か国から約670万人が訪れています。メタバースでCXを提供することにより、差別化が難しい商品・サービスについても、独自性・競争優位性を確立することが可能となります。

3-3. NAVER Z、GUCCIとのコラボでZEPETO「GUCCIワールド」刷新

引用:GUCCI

ラグジュアリーブランドや世界的スポーツブランドが当たり前にフィジカルとデジタルの両面で新しい取り組みを行っている現在において、とりわけNFTやメタバースで積極的な取り組みを行っているのがGUCCIです。
今回は、現実世界のコレクション発表と同時期に、メタバースでもコレクションをリリースするという新しい試みを実現しました。GUCCIの2024年Springコレクションの一部のアイテムはショー終了直後にZEPETOで独占公開されており、ユーザーはどこよりも早くGUCCIの新作アイテムを体験することができました。
ZEPETOは最大のユーザーを抱える中国を筆頭に、韓国、日本、アメリカ、フランス、イントネシア、タイ、メキシコと4億6,000万人を有しており、共通しているのはユーザーの7割以上が13〜24歳の女性、つまりZ世代であることです。ユーザーは髪型やメイク、服装、体型を自由に選び、人によってはファッションと同じように、毎日アバターを変えてコミュニケーションを取っています。ここで重要なポイントは、多くのZ世代のコミュニケーション手段の一つに「メタバース」と「アバター」が登場してきていることです。
ZEPETOではユーザーがアバターを通じ、自分だけの個性を自由に表現しています。また、ZEPETOの多様なファッションやビューティーアイテムはユーザーの独自のアイデンティティを表現するためには非常に重要な要素でもあるのです。こうした特徴に着目したGUCCIをはじめとしたラグジュアリーブランドや人気ブランドが、ZEPETO内でデジタルアイテムを販売する流れが生まれています。また、ブランド独自のワールドを作り、ECサイトやオウンドメディアへの集客や、実店舗に行くとインセンティブがもらえる仕掛けを用意しています。
仮想空間では、なりたい自分になれる。現実では買えない高い服でも、デジタルコンテンツなら数百円から購入でき、体型も自分の理想にできる。現実とは違うバーチャルな人格として活動できることを魅力に感じており、5年後、10年後に実際の商品を購入する層になるZ世代に向けた新しいブランド体験を提供しています。

まとめ

ここまで、メタバース上で顧客体験(CX)そのものをビジネスとして展開している好事例を紹介してきました。
フォートナイトやRoblox、ZEPETOなどのメタバースプラットフォームを活用したCX戦略や、企業のオリジナルワールドの制作に関するご相談は、お気軽にトランスコスモスにお問い合わせください。

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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