2024/08/30
トランスコスモスとEbuActionが運営するフォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」が制作した松井証券のオリジナルゲームコンテンツ「MONEY TRADE FIGHT by 松井証券」
従来は「フォートナイト=バトルロイヤル」という捉え方をされることが多かった『フォートナイト』ですが、実際にはすでにメタバースとしての立ち位置へと発展しています。『フォートナイト』の中に「バトルロイヤル」があって、「レゴ®フォートナイト」があって、他にも様々なコンテンツがあって、ユーザーが作ったコンテンツも増え続けています。その中でプレイヤーは、今日は何をして遊ぶかを友達とチャットしながら決めたり、アニメのコラボを通して実際にその作品を見たり、そうしたさまざまな広がりを持つデジタル空間の中で、人々がソーシャライズしているのが『フォートナイト』です。
また、『フォートナイト』では、ユーザー自身が作った「島(マップ)」と呼ばれるユーザー生成型コンテンツ(UGC、User Generated Contents)のように比較的簡単な操作でゲームを作って、世界中のユーザーに向けて提供できる仕組みも用意されています。さらに、その中で適正なレベニューシェアが行われることで、コンテンツを作っているクリエイターに売上が適切に分配され、クリエイターがビジネスできる環境も作りつつ、ユーザーにはよりたくさんの選択肢を提供しています。
トランスコスモスでは、EbuActionとパートナーシップを結び、お客様企業がゲームメタバースプラットフォーム『フォートナイト』上でプレゼンスを高めることができるようビジネス支援を行っています。本対談では、フォートナイトメタバース制作を手掛ける両者の視点で、フォートナイトメタバースの世界や未来、フォートナイトがビジネスに与えるインパクトなどについて、3回にわたって対談をお届けします。
※バトルロイヤル:バトルバスに100人のプレイヤーが乗り込み、一斉に巨大な島に上陸。武器やアイテムを収集しながらバトルを行い、最終的に生き残った1名(もしくは1チーム)が勝利するというルールのゲーム。
野田 慶多
BORDER代表 / 株式会社EbuAction CEO
2007年生まれ。eスポーツチーム 「KAWAZ」のGMとしてフォートナイト部門をアジア総合優勝に導く。その後、15歳の時に株式会社EbuActionを設立。現在はNEIGHBORと共同で国内向け受託特化のフォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」を運営。
X:@noda_fn
BORDER公式サイト
光田 刃
トランスコスモス株式会社 C X事業統括 D X推進本部 メタバース推進部 部長
2009年トランスコスモス株式会社入社。コンタクトセンター事業のサービス設計・運営、企画、営業を経験後、責任者としてマーケティング部門を立ち上げ。2022年よりWeb3やメタバース関連の新規事業開発・立ち上げに注力し、2023年2月にメタバース推進部を新設。現在は「フォートナイト」「Roblox」「ZEPETO」を活用した法人向けコンテンツの開発・提供を開始し、メタバースを活用したビジネス、マーケティングの責任者を務める。
講演実績として、「第2回メタバース総合展」特別講演、企業のメタバース導入 ~目的、効果、クリエイターとの共創から生まれる価値~、「Metaverse Japan Summit 2023」にて、メタバースを利用した経営戦略~メタバースビジネスの社会実装~など様々な分野でメタバースマーケティングの啓蒙活動を進めています。
光田:改めてお聞きしますが、野田さんはなぜトランスコスモスと組もうと思ったのですか?トランスコスモスと組んでメリットはありましたか(笑)?
野田:はい。弊社が御社とアライアンスを結ばせていただきたかった背景としては、御社はBPOの大手企業で、いろんなクライアント様から信頼を得て、業務プロセスの一部を請け負っているのがメインのビジネスモデルだと思うのですが、まずそこで培ってきた顧客基盤に興味を持ちました。また、メタバース推進部という新しい部署を立ち上げられていたので、御社の既存顧客に対して新しいメタバースを、僕らでいうとフォートナイトを一緒に提案させていただけるのではないかと期待しました。実際に組んでからも顧客基盤をフルに活用して、新しい提案ができているなという印象です。何よりすごくいいなと感じたのは、メタバース推進部の皆さんは元からメタバースが好きな方もいらっしゃいますし、メタバースに関する知見が豊富な方が多くて、一緒に企画を描いていく段階でもかなりスムーズに進められていると感じています。
光田:弊社は機能できているということで(笑)。
野田:はい、もう完璧に機能しています!メンバーがいいですよね、皆さんメタバースに詳しいので。
光田:野田さんとは夜な夜なゲームをやっていたりしますからね(笑)。
野田:はい(笑)。
光田:では改めて、御社の強みを教えてください。
野田:そうですね。クリエイターの中でも大きく、PM(Project Managerの略称。プロジェクトの責任者として実行計画の作成やメンバー・タスク・スケジュールなどの管理を行う仕事)とゲーム制作に関わるクリエイターに分けられます。弊社の強みは、前者のPM陣を揃えていることです。PMはクライアントのフロントに立つので、企画力やコミュニケーション能力だけでなく、クリエイターとして作る能力も必要ですから、私自身も一時期Unreal Engineというフォートナイトを作るためのスキルも学んでいました。一方、後者のゲームクリエイターについては内製化せずに、都度アサインしていく形を取っています。プロジェクト毎に制作するゲームは違いますから、制作するゲーム性に近しいポートフォリオを持っているクリエイターをアサインしています。
光田:基本的に企画と制作を分けて考えて、ディレクションをEbuActionでやっているところが強みということですね。
野田:はい、その通りです。
光田:フォートナイトのようなZ世代やα世代といった若年層向けビジネスを展開する場合、どういう視点やアプローチが重要だと思いますか?
野田:一番大事なのは、ユーザー視点です。私自身もZ世代向けの企画を受ける一ユーザーですが、ジェネレーションギャップという言葉があるように、年代が違うだけで価値観が変わってきているので、若年層の視点を持つというのは非常に大事だと思います。中には、Z世代向けの企画なのにアサインするタレントが5年〜10年違うというケースもありますので(笑)。ユーザー視点がないと、ユーザーに刺さる企画は作っていけないのかなと感じていますので、弊社のボードメンバーも17歳〜27歳と若いメンバーで取り揃えています。
光田:実際に10歳違ったら価値観やおもしろさも全然違いますよね。僕と野田さんはすでに20歳も離れているので、たまに野田さんが提案してくる企画のおもしろさがわからないことがあります(笑)。
野田:あはは(笑)。
光田:野田さんや周りにいるZ世代の意見や要望をうまく企画に反映させるようにできればなと思います。ところで、総ユーザー数やMAUから見てもフォートナイト、Roblox、ZEPETOの3つが伸びているプラットフォームだと思いますが、野田さんはフォートナイト以外のプラットフォームに参入する計画はありますか?
野田:RobloxやZEPETOは、フォートナイトと違う年代やユーザー層を狙っていますよね。フォートナイトは男性9割、日本だけで見ると男性7割くらいですが、ZEPETOは女性が7〜8割を占めています。私自身はフォートナイトが好きですが、フォートナイトだけに絞らずに、参入できるタイミングがあればしていこうと考えていますし、今後はプラットフォームを横断していくような企画も出てくるのではないか、と思っています。
光田:それは同感ですね。
野田:ゲームというのはすごく簡単にいうと、3Dのパーツを作って、それを組み合わせて舞台を作って、そこにゲームシステムを入れていくという流れになります。たとえば、クライアントのゲームのパーツを私たちが用意させていただいて、ハッカソン的な企画をクリエイター向けに打ち出して、フォートナイトでもRobloxでもZEPETOでも作っていいよ、みたいな。そのうちフォートナイトで作ったゲームをすぐにZEPETOに移管できるような基盤システムもできるのではないかと思っています。
光田:YouTube、TikTok、Instagramといった企業のSNS活用が一般的になりましたが、企業がフォートナイト、Roblox、ZEPETOを当たり前に活用する未来も遠くないかもしれませんね。
野田:そうですね。まさしく。
光田:YouTubeやTikTokでバズらせる方法があると思うのですが、フォートナイトでバズらせるためには、どうすればいいでしょう?
野田:TikTokにはトレンドがあって、ある音源のダンスをみんなが踊る時期があるように、フォートナイトでも人気のゲーム性やトレンドがあって、その時に流行っているゲーム性の亜種がいろんな形で出てきます。フォートナイトの中で人気のゲーム性をきちんと把握して、企業はそのトレンドに則って、自社の訴求したい要素を入れて、+αでちょっとひねってあげることで、わりとバズりやすくて、おもしろいコンテンツになりやすい、と私たちは考えています。
光田:なるほどですね。日本って昔からコンテンツやIP(「知的財産」と訳されますが、ゲーム業界におけるIPはアニメーション・漫画の版権を指すことが通常)が強いと言われているじゃないですか。
野田:グローバルで戦えている日本のIPですと、マリオもポケモンもどちらもゲーム発で、ゲームからIPを覚えてもらうというのは非常に相性のいい戦略だと思います。
光田:私が上手だなと思ったのは、農機や建機を手掛けるヤンマーホールディングスさん。ヤン坊マー坊というキャラクターを刷新したほか、2024年に公開予定のアニメ「未ル(MIRU)」を製作して、アニメの力でブランディングしようとされています。昨年7月にロサンゼルスで開かれた「Anime Expo 2023」でも大きな注目を集めたらしいです。1企業が1IPを持って、フォートナイトやRobloxで自社のブランディングをしていく世界が来ればおもしろいと考えているのですが、フォートナイトにおけるIPの事例はありますか?
野田:私たちの共同パートナーの「NEIGHBOR」という制作スタジオの事例になりますが、彼らはフォートナイトの中にオリジナルのゲームコンテンツを作って、忍者×ロケットをモチーフにしたRocket NinjaというIPを強く押し出しています。Rocket NinjaというIPを毎回敵キャラで使ったり、ある時はアバターとして使ったり、ある時はただ背景にいるNPC(Non Player Characterの略称で、ゲーム上でプレイヤーが操作しないキャラクターのこと)として使っています。フォートナイトでの体験はWebでの体験と違って、みんなと共同で体験するので「思い出」になり、その思い出の中にIPの記憶が残って、そのIPをどんどん好きになっていく。たとえば、そのIPを使ってグッズ展開することも、企業の場合だと商材につなげていくこともできるのではないか、と考えています。
光田:たしかに。アバターなどのデジタルアイテムの販売に限らず、物販にもつなげられますね。デジタルアイテムを購入したらリアルのアイテムが安くなるとか、あるいは特典が付くとか、いろんな使い方ができそうです。
(対談の内容は2024年4月時点のものです)
著者
メタバース情報局編集部
メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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