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コラム

2023/03/30

メタバースとは?企業活用・メリット・最新トレンドをわかりやすく解説

メタバースとは?企業活用・メリット・最新トレンドをわかりやすく解説

公開日:2023年3月30日
最終更新日:2026年2月25日

ゲームの世界でよく聞かれていた「メタバース」ですが、近年はビジネス領域でも存在感を増しています。
総務省「情報通信白書(令和6年版)」では、世界のメタバース関連市場は 2030年に80兆円規模へ成長する可能性 があるとされ、AI・XRデバイスの普及も追い風になっています。実際、多くの企業が新規事業、研修、顧客体験向上などでの活用を模索し始めています。

一方で「メタバースの定義が曖昧」「実際に何ができるか分かりづらい」と感じる人も多いでしょう。
本記事では、メタバースの意味、注目される理由、企業の活用メリット、最新トレンドをわかりやすく解説します。

メタバースとは何か(意味・定義・従来の仮想空間との違い)

メタバースは、Meta(超越)+ Universe(世界) を組み合わせた造語で、1992年の小説『スノウ・クラッシュ』に登場した概念が起源です。

ユーザーは自分のアバターを介して仮想空間に参加し、
・交流
・買い物
・イベント参加
・仕事
など、複数の活動を行うことができます。

現在は厳密な定義はなく、3D/2D・VR/非VRなど幅広い形態 を含む大きな概念として扱われています。

1-1. 従来の仮想空間との違い

「メタバースはインターネット上に構築された仮想空間」と紹介しましたが、仮想空間はこれまでにもゲームなどで存在していました。では、従来の仮想空間とメタバースの何が違うのかといえば、「1人で楽しむか」「他者がいることが前提か」という点が挙げられるでしょう。
従来の仮想空間は現実と完全に分断された空間であり、それを個人で体験することがポイントとなっています。他者とのかかわりは考慮されず、それによってユーザーに新しい体験を提供します。メタバースの場合はインターネット上でアバターを介し、個人的な体験だけでなく他者と社会的な交流を楽しむことがポイントになっています。
また、「Play to Earn(稼ぐために遊ぶ)」の概念の有無も大きな違いです。従来の仮想空間は現実とは切り離されており、あくまで画面上で完結するものでした。それに対しメタバースは、お金や土地などが現実と同じように取引されており、メタバース上で稼いだお金を現実で利用することも可能。仮想空間と現実の差が曖昧であるところも、これまでの仮想空間にないメタバースの特徴です。

従来の「仮想世界」は、ゲームのように“個人が没入して楽しむ空間”が中心でした。
対してメタバースは、

  • 他者との交流が前提
  • 現実とつながった経済圏が存在
  • アバターによる社会的行動が可能

といった点が特徴です。

近年では、仮想空間で得た価値(デジタルアイテム・ポイント等)をリアルに反映する仕組みも増え、現実世界との境界がより曖昧になっています。

1-2. VRとメタバースの違い

メタバースと混同されるものとして、VR(Virtual Reality)が挙げられることがあります。VRは専用ゴーグルを付けて仮想世界に没入するもので、そのため「ゴーグルがないとメタバースを利用できない」と思われることもあるようです。

ただし、VRは、仮想空間をより現実に感じられるようにする技術やデバイスであり、それに対してメタバースは空間そのものを指しています。VRはメタバースに臨場感をもたらしますが、なければメタバースが利用できないというわけではないのです。

VRは「体験を深くする技術」であり、メタバースは「空間そのもの」です。
近年は Apple Vision Pro以降のMR系デバイスの普及 により、メタバースは“VRゴーグル必須”のイメージが薄れ、
PC / スマホ / MRヘッドセットなど、利用手段が多様化しました。

また、2Dブラウザ型メタバース も教育・研修で利用が増えており、“3Dだけがメタバース”ではありません。

メタバースが注目される理由(技術・市場規模・社会背景)

メタバースは新しい概念のようにいわれることがありますが、構想が誕生したのは1980~1990年代でした。名称は前述のように1992年の小説が由来となっていますし、2003年には世界初のメタバース空間である「Second Life」がリリースされています。
ではなぜ、最近になってメタバースはビジネスシーンで注目されるようになったのでしょうか。

2-1. VR技術の発展と普及

VR技術は急速に発展し、高精細映像や音響技術でより現実に近い仮想空間を作り出せるようになりました。さらに、VRと関連した技術の開発も進み、VRゴーグルやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)なども安価になり、一般層にも普及しつつあります。
こういった技術の進展により、一部にしか知られていなかったメタバースは身近なものとなりました。従来のオンラインとは違った新しい体験が可能になり、新たなビジネスチャンスが広がっています。

2024〜2026年にかけて、以下の領域の成長が続いています:

  • MR(Mixed Reality)デバイスの普及
  • 高精細3D空間レンダリング技術
  • AIアバター/AI NPCの自然対話技術

これらの技術により、会議・研修・設計・遠隔支援 など企業活用の幅が拡大しました。

👉 関連:メタバース・XR領域の市場規模を整理した解説はこちら。
📘メタバースの市場規模は今後どうなる?2030年までの見通し

2-2. 市場規模の拡大

総務省や海外調査会社のレポートでは、メタバース関連市場は
2030年に80兆円前後まで拡大すると予測され、
AI・デジタルツインと結びついた“実務領域”での期待値が高まっています。

2-3. NFT市場の盛り上がり

NFTとは、ブロックチェーンの仕組みを使って、デジタルデータの保有者情報を管理する技術です。「Non-Fungible Token」の略語で、日本語では「非代替性トークン」と呼ばれます。NFTの登場によって、デジタルデータの保有者情報の証明が可能となり、偽造やコピーを防止できるようになりました。つまり、デジタルデータにも資産価値を与えられるようになったのです

NFTバブルは落ち着きましたが、
デジタル身分証・資格証明・資産証明などの実用領域 が広がり、メタバース内の“価値の管理技術”として定着しつつあります。

2-4. 新型コロナウイルス感染症によるリアルイベントの阻害

コロナ禍で広がった仮想オフィスやバーチャルイベントは、
「分散チームのコミュニケーションツール」として定常利用されるケースが増えています。

企業がメタバースを活用するメリット

メタバースが進展していること、注目されていることはわかりましたが、企業がメタバースを利用することや参入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。企業がメタバースを活用するメリットを、いくつかご紹介します。

3-1. 新たな顧客接点の創出

メタバースのメリットとして、距離や空間の制約がないことが挙げられます。これによって、遠方に住んでいる、介護や育児などの理由で時間がない、障がいなどで外出が難しいなどといった顧客も、メタバース上でなら接点を持てるでしょう。
これまでEC化が難しいとされていた自動車や不動産などの業界も、仮想世界に現実と同じ物を構築する「デジタルツイン」技術などを利用して現実と同様に商品を体験してもらうことが可能となりました。翻訳機能を利用すれば、海外の顧客の呼び込みも可能です。

3-2. マーケティングの高度化

メタバースの利用によって、新たなマーケティングの可能性が広がりました。先に挙げたようなイベントの開催や出展はもちろん、バーチャルショップの出店やメタバース内での広告出稿なども考えられます。
デジタルツインを利用してユーザーにプロトタイプの商品を体験してもらい、反応を見て商品開発や改修に活かすことも可能です。イベントなどで接触した見込客に対し、商品やサービスをVRで体験してもらい、興味や関心、理解の引き上げなどを行うこともできるでしょう。

👉 関連:国内企業の最新メタバース活用動向はこちら。
📘日本のメタバース参入企業は? 店舗やイベントの活用事例を紹介

3-3. 品質・スキル向上(AIシミュレーション活用が増加)

品質やスキルの向上にもメタバースは利用できます。メタバース上でシミュレーションを行えば、プロトタイプの作成や試運転などのコストや時間を掛けずにオペレーションの最適化が可能です。
メタバース上に空間を再現することで、物理的に離れた現場の問題に取り組むことも可能になります。危険を伴う作業の研修なども、メタバース上でなら安全に何度も行うことができる点もメリットでしょう。

3-4. 社内コミュニケーションの円滑化

テレワークが普及したことで課題に上がったのが、社員同士のコミュニケーションが希薄になったことと、業務状況の見えなさです。そこで、メタバース上のバーチャルオフィスが注目されました。
アバターの状態を見ることで状況が確認できますし、対面のコミュニケーションが苦手な人も、アバターを介してならスムーズな会話ができる場合があります。オフィスをメタバース上に設置することで、居住地を問わずに採用ができるといったメリットもあるでしょう。

メタバース導入の注意点とリスク

ビジネスシーンでも注目を集めるメタバースですが、利用するには注意点もあります。メタバースをビジネス利用する際に、注意しておきたいことは下記の3点です。

4-1. 導入と運営のコスト

メタバースを利用する場合、いずれかのプラットフォーマーが提供するサービスを利用する方法と、オリジナルのバーチャルな空間やシステムを構築する方法があります。サービスを利用する場合はそこまで多額の初期費用は必要ありませんが、カスタマイズ性などが低い可能性があり、自社の希望を反映しきれないかもしれません。
メタバースの環境を構築する場合は、自社に合ったオリジナルの空間やシステムを作ることができますが、外部に委託すれば数百万~1,000万円以上かかるとされています。運営していく上で、サーバ費用のほか、アップデート、改修などの費用なども考えておかなければなりません。外部SaaS型やUEFN活用により低コスト化も進んでいます。

4-2. 法の未整備

内閣府がメタバースの法的課題について協議を行い、メタバース関連のルール整備が進行中です。しかしメタバース上での財産をどのように保障するか、なりすましや乗っ取りなどの不正行為があった場合にどのように対処するかは、プラットフォーマーや利用者に委ねられている部分が多いです。
メタバース空間内での不正行為を取り締まるために、利用規約を整備しておくことが重要といえるでしょう。

4-3. セキュリティ対策

通常のオンライン環境のセキュリティ対策に加えて、メタバースならではのセキュリティ対策が必要です。課金対象のデータが改ざんされたり無断で複製されたりすれば、本来得られるはずの収入が失われますし、迷惑行為や犯罪行為が行われれば、プラットフォームへの不信感からユーザー離れが起きるかもしれません。アバターなりすまし対策にID連携・生体認証が増加しています。

メタバース活用事例(国内・海外)

メタバースはさまざまなビジネスで利用されています。その代表例をいくつかご紹介しましょう。

5-1. 株式会社Urth「V-air」

出典:株式会社Urth

「V-air」は株式会社Urthが提供する、法人向けに特化したメタバースプラットフォームです。スマートフォンやPCのブラウザからログインでき、アプリのインストールが不要な点が特徴です。
企業は自社ニーズに合わせてバーチャル空間をカスタマイズでき、建築士とともにオフィス空間やイベント用スペースを設計することが可能です。展示会・イベント運営をはじめ、教育・研修領域での活用も広がっていました。
トランスコスモスが展開していた「メタバースサービス体験ルーム」もV-air上で制作されたもので、現在は公開を終了しています。

5-2. Epic Games「フォートナイト」

画像出典:FORTNITE

フォートナイトは、登録ユーザー数が6億5,000万人以上に到達しており、 月間アクティブユーザー数は約1億1,000万〜1億2,000万人(2026年時点)と 世界最大級のオンラインプラットフォームとなっています。
他のユーザーと協力する「世界を救え」、オンラインで対戦する「バトルロイヤル」のほか、フォートナイトをプラットフォームとして、メタバース空間やオリジナルゲームを制作できる「クリエイティブ」など、さまざまなモードで遊ぶことができます。
過去にはフォートナイト上でさまざまなアーティストがライブを行い、日本でも米津玄師さんや星野源さんが実施したことで大きな話題となりました。UEFNによる企業ワールド制作が普及しています。

5-3. KDDI「αU」

画像出典:αU

α(アルファ)Uは、2023年にKDDIが始動させたメタバース・Web3サービスです。現実空間と仮想空間の垣根を取り払って、「すでにひとつの世界である」という意味を込めて「現実世界と、仮想世界の線引きのないひとつの世界」をコンセプトに設定しました。
仮想現実とブロックチェーン技術を組み合わせて、没入感のある仮想空間を提供しており、メタバース、ライブ配信、バーチャルショッピングなど複数のサービスで構成されています。クリエイターコミュニティを支援することで、新しいデジタルコンテンツの創造を促進している点も特徴でしょう。
2024〜2025年でサービス群を再編、ショッピング機能拡充されました。

5-4. Meta「Horizon Workrooms」

画像出典:Horizon Workrooms

Horizon Workroomsは、Metaが提供するミーティングサービスで、ユーザーは一体型VRヘッドセットを利用してメタバース上の会議室にアバターとしてログインします。話しているアバターの方向や距離によって聞こえ方が異なる空間オーディオ技術を採用しているほか、ハンドトラッキング技術によって身振り手振りや口の動きなども再現され、よりリアルに話者の存在が感じられるでしょう。
ホワイトボード機能やブレインストーミング機能、ドキュメント作成機能など、ビジネス向けの機能も充実しています。AIアシスタント機能や空間共有機能が強化されました。

👉 関連:国内外の主要メタバース事例をまとめて確認できます。
📘【2024年2月公開事例5選】Roblox・VRChat・Fortniteの最新活用

メタバースの最新動向(2026年)

期待が先行するメタバースとWeb3。大きな可能性を秘めていますが、メタバースもWeb3もまだまだ黎明期で、この1~2年で収益を得られるものにはならないでしょう。とはいえ、新たな可能性への萌芽がそこかしこに見られるのもまた事実です。その前に、メタバースの現在地を整理しておきます。

6-1. Gartnerハイプ・サイクル2023年版でメタバースが「幻滅期」入り

Gartnerの「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル(2025年版)」では、AIエージェントが過度な期待のピーク期に位置づけらました。(出典:Gartner, 2025
メタバースは引き続き幻滅期にあると指摘されています。メタバースは、2023年は幻滅期、その後実務領域での活用が増え“実装フェーズ”へ移行しました。

6-2. メタバースビジネスの事業化に失敗した割合は91.9%

コンサルティングファームの株式会社クニエは、メタバースの事業化検討に関わったことのあるビジネスパーソンを対象にメタバースビジネスの実態調査を実施し、2023年5月23日レポートを公開しました。当調査は、メタバースビジネスの取り組み状況の把握と、事業化の成功・失敗要因の抽出を目的としたもので、そのスクリーニング調査の結果として、「事業化の成否が判明した取り組み」のうち91.9%が事業化に失敗しているということが判明しました。

画像出典:株式会社クニエ

事業化に失敗するメタバースビジネスの特徴としては、メタバースビジネスを既存ビジネスの延長線上に位置づけてしまい、メタバースに取り組むこと自体が目的化しがちです。しかし、メタバースはあくまで手段であり、手段の目的化を避けるためにも、自社が取り組む意義を考えることが重要となります

2026年現在も、「顧客課題 → 解決手段としてメタバース」
という順番が成功条件であることは変わりません。

また、多くの企業は、「メタバースでどのようなサービスが提供可能か」というユースケース起点で検討を進める傾向があります。しかし、このアプローチでは市場ニーズとのズレが生じ、ユーザーにとって価値のないサービスとなる可能性が高いでしょう。まずは顧客が抱える課題やニーズの理解を深めた後に、メタバースを用いた提供価値を検討する順番で進めることが重要です。​

Meta社やMicrosoft社など世界的大手企業によるメタバースへの大型投資が発表されて以降、メタバースに取り組む日本企業が多く見られました。しかしながら、現時点で事業化まで辿り着いた企業は数少なく、多くの企業が事業化に失敗しています。一方で、自社の事業環境を鑑み、メタバースビジネスの実現を模索している企業も一定数存在しており、メタバースそのものは今後一旦幻滅期を迎えながらも、メタバースビジネスを展開する企業は緩やかに増加していくものと考えられています

👉 関連:メタバース事業の成功ポイントを整理した解説はこちら。
📘メタバースの市場規模は今後どうなる?2030年までの見通し(事業検討情報も網羅)

まとめ:企業がメタバースに取り組む際のポイント

メタバースはエンタメ領域から始まりましたが、現在は

  • 研修
  • 設計・製造
  • バーチャルイベント
  • コミュニティ形成
    など、実用領域での可能性が広がっています。

ただし、事業化には慎重な検証が不可欠で、
“小さくつくり、小さく検証する”アジャイル型アプローチ が成功企業の共通点です。

トランスコスモスでは、事業フィットの見極めやユースケース整理を支援する
「メタバースワークショッププログラム」を提供しています。
ぜひご相談ください。

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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