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コラム

2023/11/07

日本のメタバース参入企業は?店舗やイベントの活用事例を紹介

日本のメタバース参入企業は?店舗やイベントの活用事例を紹介

さまざまなメディアなどで話題となっているメタバース。旧Facebook社がMeta(メタ)へ社名を変更したり、Microsoftが事業に参入したりと、世界の企業がメタバース事業を展開しています。そこで、日本企業の参入状況はどうなっているのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、日本国内のメタバースに対する認知度や市場規模の現状と予測のほか、日本発のメタバース・プラットフォームなどについて解説。多種多様な業界のメタバースを活用した参入事例もご紹介します。

メタバースとは?

メタバースは、meta(超越)とuniverse(宇宙・世界)を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された仮想空間を指します。
メタバースにおいて、ユーザーは自分の分身である「アバター」を操作し、現実世界と同じように人と交流したり、購買活動を行ったりすることが可能です。場所や時間に縛られない自由度の高さや、現実では再現できないものを形にできる可能性があり、その名のとおり「超越した空間」といえるでしょう。
仮想空間を自由に移動できるメタバースの特性から、ゲーム以外にも会議や旅行、コンサートなど、多種多様な領域で活用が期待されています。メタバースは今後、ビジネス活用への期待が高まっている分野であり、世界中の企業や投資家が注目している分野でもあります。

日本国内のメタバース利用者

世界各国で注目されている一方で、日本におけるメタバースの認知度は現状どうなっているのでしょうか。
トランスコスモスでは2022年10月と2023年4月に「メタバースに関する消費者調査」を実施。15歳以上の男女約1,300人にインターネット調査を行った結果、どちらの年も「メタバースを利用したことがある」と答えた人は、全体の約25%という結果となりました。
また、「利用したことがある」と答えた人にメタバースの用途について聞いたところ、男女共に「ゲーム」が一番多く、次いで「コミュニケーション」という結果に。
男性の利用者は「音楽・ライブ」を除き、2023年はどの用途でも2022年から微増しています。女性の利用者の場合は、2023年は2022年から「企業の展示会・イベント」の利用が39%から21%と有意に下がりました。一方で「コミュニケーション」での利用は2022年の27%から、2023年は37%とぐっと増えています。

メタバースの用途

上記のデータから、男性はビジネス・プライベートを問わず幅広い用途での利用、女性の利用者はよりプライベートでメタバースを利用する傾向があるといえそうです。

日本のメタバースの市場規模

国内の市場規模は、総務省「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(第9回)」の資料「メタバースに関する動向等」(2023年4月、株式会社三菱総合研究所)によると、2025年には4兆円程度、2030年には約24兆円規模になるとの予想が立てられています。
また、総務省が公表している「情報通信白書令和4年版」によれば、2021年時点で4兆2,640億円だった世界のメタバース市場が、2030年に78兆8,705億円まで拡大すると予測されました。
こうしたことから、メタバースは将来性が期待されている分野のひとつであることがわかります。

日本発のメタバースの代表的なプラットフォーム

メタバースを提供するプラットフォームの中には、日本発のものも複数あることをご存じでしょうか。ここでは、代表的な日本発のメタバース・プラットフォームを紹介します。

cluster(クラスター)

画像出典:https://cluster.mu/

clusterは、クラスター株式会社が開発したメタバース・プラットフォームです。数万人単位で同時接続が可能で、イベントの累計動員数も2,000万人を超えていることから、日本最大級と称されることもあるサービスです。PCやスマートフォンからアクセスすることができ、無料ですぐに始められる手軽さが、多くのユーザーに支持されています。
clusterの特徴は、メタバース内でのユーザー同士の交流を重視している点。音声やアバターの動きでユーザー同士が交流を図り、友達を増やしていくことができます。非日常的な世界を表現した空間から、渋谷区公認でオープンした配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」のような現実世界を再現した空間まで、多彩なバーチャル空間が利用可能です。
メタバース内での新たなコミュニケーションを気軽に体験できるプラットフォームといえるでしょう。

REALITY(リアリティ)

画像出典:https://reality.app/

REALITYは、REALITY株式会社が運営する、バーチャルライブ配信のプラットフォーム。自分の好きなようにカスタマイズできるアバターで出演し、ライブ配信や視聴者とのコミュニケーションが楽しめます。配信者の動きや顔の表情がアバターにリアルタイムで反映されるため、よりリアルなライブ感が味わえるのが特徴です。
視聴者は配信者にギフトを送ることができ、どちらも楽しめるようなイベントが頻繁に開催されています。ギフトをスコア換算することでランキングがつき、上位の配信者はREALITY内の公式番組に出演できたり、イベント参加者はスコアに応じて限定衣装をもらえたりなど、仕掛けが盛りだくさん。
顔を出さずにライブ配信や視聴、参加者とのコミュニケーションを楽しみたい人向けのプラットフォームといえるでしょう。

日本企業によるメタバースを活用した新規事業

日本においても、メタバースを活用した新規事業が続々と誕生しています。日本企業によるメタバース活用にはどのような動きが見られるのか、業界ごとの事例を見ていきましょう。

5-1. 小売業界

小売業界では、メタバースを活用したアバター接客やバーチャルファッションショーなどが導入されています。具体的をいくつかご紹介します。

・BEAMS

衣料品や雑貨のセレクトショップBEAMSは、VRイベント「バーチャルマーケット」にブースを6度出店(2023年7月時点)。アバターを使って、3Dモデル化されたスーツやワンピースなどを着用することができ、その実在の商品を購入することも可能です。リアルとバーチャルがリンクするような展示を体験することができます。

・VirtualFashionShow 2023

VirtualFashionShow 2023は、2023年8月に開催された、メタバースとファッションを組み合わせた日本最大規模のバーチャルファッションショーです。現実のファッションショーと同様にアバターのランウェイイベントがあり、公式ショップやイベントに参加するブランドなどから、アバターやファッションアイテムの3Dモデルが販売されました。

5-2. 音楽業界

音楽業界では、物理的な空間や距離の制約を受けないメタバースならではのライブや、アーティストとファンの交流イベントなどが行われています。いくつかの企業の事例を見ていきましょう。

・ソニー・ミュージックレーベルズ

音楽レーベルの集合体であるソニー・ミュージックレーベルズは、仮想空間プロジェクト「ReVers3:x(リバースクロス)」を運営していて、不定期でさまざまなアーティストのライブ配信を予定。現実と仮想の世界を融合させる技術を使ったXRライブで、新しい映像表現や演出に挑戦しています。

・ぴあ

チケット・出版事業を展開するぴあは、バーチャルライブ・プラットフォーム「NeoMe」を提供。アバターでバーチャル空間に入り、アーティストのバーチャルライブやユーザー同士の交流をアプリで楽しめます。限定デジタルグッズの販売など、ライブ以外にも楽しめるコンテンツが用意されています。

5-3. 不動産業界

不動産業界では、メタバース住宅展示場やリアルタイム相談会のサービスを提供。各企業の取り組み事例は、下記のとおりです。

・大和ハウス工業

大和ハウス工業は、オンラインでコミュニケーションが取れるメタバース住宅展示場「LiveStyle PARTNER」を公開。客は営業担当者とアバターを使って展示場内を内覧し、説明を受けることができます。住宅を屋根の上から床まで、現実では不可能なさまざまな角度から見学したり、子どもやペットの視点で見たりすることも可能です。外観や内観だけでなく、構造躯体なども確認できる点は、メタバース空間ならではでしょう。

・東急不動産

東急不動産は、複数人が同時に参加できるVRモデルルームを、実際のマンションギャラリーで使用。時間や場所の制約を受けずに、家族と話をしながらいっしょに見られるなど、リアルな内覧に近い感覚を体験できます。壁紙や家具などのシミュレーションで実際の暮らしがリアルに想像できるほか、モデルルーム用の部屋が用意できない場合や、異なる間取りをすぐに比較したい場合にも便利なシステムです。

・野村不動産

野村不動産は以前から住宅購入の基本的ノウハウなどを紹介する「プラウドオンラインサロン」を運営していましたが、利用には予約が必要で、人によってはハードルを感じる状況でした。そこで、プラウドオンラインサロン上に事前の予約が不要で、アバターの匿名性を活かして相談ができるメタバース空間を開設。アバター同士で音声会話やチャットで相談できるほか、住宅に関するセミナー開催なども予定されています。

5-4. 観光業界

観光業界においては、バーチャル旅行などメタバース上での観光体験が可能なサービスが実用化されつつあります。メタバースを活用した旅行体験がどのようなものか、事例を見ていきましょう。

・ANAホールディングス

ANAホールディングスが新しく設立したANA NEO株式会社が、バーチャルトラベルプラットフォーム「ANA GranWhale」の開発・運営を担当。メタバース上に作られた世界の都市や観光スポットへの気軽なバーチャル旅行や、モールでの実際の買い物、バーチャル上での医療や教育などのサービスの展開を予定しています。

あしびかんぱにー

沖縄発のエンタメコンテンツ企業であるあしびかんぱにーが、メタバースで沖縄の観光名所を回れる「バーチャル沖縄」を運営。沖縄を体験できるバーチャル観光やフェス参加、実際の買い物などができて、地元企業ならではの地域密着のコンテンツが楽しめます。

日本でも幅広い分野でメタバースの活用が進む

日本においても多くの企業がメタバース活用への取り組みを推進しており、新しいビジネスを次々に実現しつつあります。世界規模で盛り上がっていくと予測されているメタバースですが、日本でも幅広い業界でメタバースの活用が進んでいきそうです。
今後の成長が期待される分野として、メタバースの動向がますます注目されていくことになるでしょう。

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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