2024/11/06
従来は「フォートナイト=バトルロイヤル」という捉え方をされることが多かった『フォートナイト』ですが、実際にはすでにメタバースとしての立ち位置へと発展しています。『フォートナイト』の中に「バトルロイヤル」があって、「レゴ®フォートナイト」があって、他にも様々なコンテンツがあって、ユーザーが作ったコンテンツも増え続けています。その中でプレイヤーは、今日は何をして遊ぶかを友達とチャットしながら決めたり、アニメのコラボを通して実際にその作品を見たり、そうしたさまざまな広がりを持つデジタル空間の中で、人々がソーシャライズしているのが『フォートナイト』です。
また、『フォートナイト』では、ユーザー自身が作った「島(マップ)」と呼ばれるユーザー生成型コンテンツ(UGC、User Generated Contents)のように比較的簡単な操作でゲームを作って、世界中のユーザーに向けて提供できる仕組みも用意されています。さらに、その中で適正なレベニューシェアが行われることで、コンテンツを作っているクリエイターに売上が適切に分配され、クリエイターがビジネスできる環境も作りつつ、ユーザーにはよりたくさんの選択肢を提供しています。
トランスコスモスでは、EbuActionとパートナーシップを結び、お客様企業がゲームメタバースプラットフォーム『フォートナイト』上でプレゼンスを高めることができるようビジネス支援を行っています。本対談では、フォートナイトメタバース制作を手掛ける両者の視点で、フォートナイトメタバースの世界や未来、フォートナイトがビジネスに与えるインパクトなどについて、3回にわたって対談をお届けします。
野田 慶多
BORDER代表 / 株式会社EbuAction CEO
2007年生まれ。eスポーツチーム 「KAWAZ」のGMとしてフォートナイト部門をアジア総合優勝に導く。その後、15歳の時に株式会社EbuActionを設立。現在はNEIGHBORと共同で国内向け受託特化のフォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」を運営。
X:@noda_fn
BORDER公式サイト
光田 刃
トランスコスモス株式会社 C X事業統括 D X推進本部 メタバース推進部 部長
2009年トランスコスモス株式会社入社。コンタクトセンター事業のサービス設計・運営、企画、営業を経験後、責任者としてマーケティング部門を立ち上げ。2022年よりWeb3やメタバース関連の新規事業開発・立ち上げに注力し、2023年2月にメタバース推進部を新設。現在は「フォートナイト」「Roblox」「ZEPETO」を活用した法人向けコンテンツの開発・提供を開始し、メタバースを活用したビジネス、マーケティングの責任者を務める。
光田:これまで野田さんと一緒に企業向けのゲーム系メタバースのワークショップ(ゲーム体験会)を多数実施してきましたが、ワークショップを実施したかしないかで企業で理解度が違うというような実感はありますか?
野田:大きく違いますね。私たちはクライアント様が打ち出したい訴求と、おもしろくなるエンタメ・ゲーム性を組み合わせて企画を提案させていただくのですが、そもそもフォートナイトを認知していない/体験したことがないクライアント様が大半ですので、文面の資料でこういう企画ですと言われてもなかなかイメージしづらいという課題がありました。
光田:たしかに。
野田:これまでの提案では、「なんかよくわかんないから、また機会があったら」で終わりがちでしたが、ワークショップという形でフォートナイトのコンテンツを体験し、参加された皆様に企画を考えていただくことで、フォートナイトへの理解が深まって、フォートナイトの魅力を感じていただきやすくなったと実感しています。
光田:ワークショップを続けていくことで啓蒙活動にもつながりますし、フォートナイトのファンを増やすことにもつながっていくかなと思いますので、今後も御社と共同で続けていきたいと考えています。
野田:はい。今後ともよろしくお願いします。
光田:昨年あたりから企業各社がローンチしたフォートナイトの事例をプレスリリースで目にする機会が増えました。フォートナイトがスタンダードなプラットフォームになるのはいつ頃だと思われますか?
野田:現状だと、2点足りない要素があると考えています。1点目は、経済圏ができていくこと。ただユーザーが集まっているだけではなく、しっかりお金も動いていくこと。2点目は、幅広い年齢層のユーザーがいること。前者については、私たちのような公式ではないクリエイターはプラットフォーム内でモノを売ることができないのですが、3年後にはできるようになるだろうと推測しています。後者については、今はまだユーザーの年齢が若いので、ユーザーの年齢層が上がっていくことですね。これらがクリアできるようになるのは3年後ではないか、と。
光田:なるほど。
野田:Epic Gamesが2024年2月16日に「2023年Epic Games Storeの総括」を公開していますが、Epic Gamesストアでの2023年のPCユーザーからの売上が前年比16%増となる9億5,000万ドル(約1,420億円)を記録したと発表されており、しっかり購入されている証拠だと私は捉えています。フォートナイト公式がある意味独占しているところを、私たちのようなサードパーティーが販売できるようになれば、前者の経済圏という条件はクリアになっていくと思います。また、後者のユーザーの年代を上げていく観点でいうと、2024年2月にディズニーがEpic Gamesに15億ドル(約2,220億円)を出資することを発表しました。フォートナイトはシューティングゲームの人気により若い層を獲得していましたが、ディズニーのコンテンツが提供されていくことで、幅広い年代層のユーザーが増えていくことが予測されます。ディズニーコラボが開始されるのが数年後ではないかと思いますので、3年後には経済圏ができ上がって、一般のマス層にも使われ始め、スタンダードなプラットフォームになっていくのではないか、と考えています。
光田:なるほどですね。一方で、ユーザーの年齢層が上がっていくと、若年層ユーザーが利用しなくなるのでは?という質問をいただくことがあります。
野田:YouTubeやTikTokがわかりやすい歴史を辿っていますね。2017年頃からTikTokが流行り出して、当初は中高校生がダンスを踊って身内のコミュニティ内で動画を公開する、いわゆる若年層が使うアプリというイメージが強かったと思います。今ではビジネス系TikTokerが出てくるほどコンテンツの広がりを見せていますが、TikTokが30代~40代のプラットフォームになっているかというとそんなことはなく、10代も20代も30代もいます。TikTok然りYouTube然り、全年代が使う巨大なプラットフォームになっていったように、フォートナイトもRobloxもZEPETOも全年代が使うプラットフォームになっていくのではないか、と私は考えています。
光田:年代層が広がっていくサービスに移り変わるということですね。
光田:従来の広告との大きな違いって、ゲーム系メタバースは「体験した」という指標だと思うんですよ。果たして、従来の「見た」と同じ指標でいいのかと問われると、全然違いますよね。
野田:みんなと共同で体験して、その中で思い出に残るというのが、重要なキーだと思っています。フォートナイトの体験というのは、認知するだけでなく、実際にコンテンツを数十分間体験して、友達と一緒に遊んで、友達とコンテンツについての感想を言い合うところまで含めて1インプレッションの中身だと思っています。
光田:従来の広告の1インプレッションとは明らかに違いますし、Web広告じゃできない訴求ができますよね。
野田:実際にプレイして、どのくらい思い出に残って、そこから実際に想起されるのかが可視化できれば、フォートナイトでコンテンツを作るという動きに変わっていくと思っています。
光田:やり込み要素を作って一人でプレイするというよりは、複数人での体験を作っていくことで、友達とプレイした記憶や思い出が残り、メタバース特有の価値が生まれる可能性がある。そもそもメタバースは場所を問わずにアクセスできるので、みんなで共同作業ができて、みんなで体験できて、みんなの記憶や思い出に残る。それをゲームの世界に落とし込んだのが、今のフォートナイトやRobloxですよね。
野田:はい。
光田:今一緒に取り組んでいる企業様とは、いろんなデータを取って、独自の指標を見つけようとしているので、その辺りが先行者利益になるのではないか、と。
野田:そうですね。ファンが先に付きやすいという意味では、YouTubeやTikTokと近しい先行者利益があるような気がしています。まだあまり競合もいませんから。
光田:幼少期からファン化していくことで、ある商材を選ぼうとした時に、その企業が想起されやすくなる可能性は高いと思います。新規獲得コストは下がるでしょうね。
野田:まさしく!そう思います。
(対談の内容は2024年4月時点のものです)
著者
メタバース情報局編集部
メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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