2023/11/24
ファンコミュニティは、ブランドや商品の熱烈なファンからライトな関心層まで多様なメンバーが集まり、オンライン上で双方向コミュニケーションができる場です。
本記事では、今注目されている「ファンコミュニティ」について、SNSマーケティングとの違い、企業の成功事例、ファンコミュニティがもたらす効果、成功させる運用のポイント、設定すべきKGI・KPIなどについて幅広く解説します。
INDEX
ブランドや商品を愛し、長きにわたり購買し続け、その良さをシェアやクチコミで広めて、新しい顧客も連れてきてくれる。そうした「ファン」の存在は、企業のサステナブルな成長に欠かせないものです。「ファン」と聞いて連想するのは、芸能人やスポーツチームなどが好きで、熱烈に応援する人というイメージがあります。
ファンベースカンパニー取締役会長・ファンベースディレクターの佐藤尚之氏は、ファンを「企業やブランド、商品が大切にしている『価値』を支持している人」と定義しています(『ファンベース』ちくま新書・2018年)。
ブランドや商品には、価格や性能・スペックといった「機能価値」、その商品にまつわる思い出、ブランドへの愛着といった「情緒価値」、企業やブランドの社会課題へのコミットへの共感といった「社会価値」など、さまざまな「価値」が内包されています。ここでいうファンとは、そうした「情緒価値」や「社会価値」に対して真の価値を感じる人です。
「機能価値」は他企業・ブランドに追随・模倣され、すぐに陳腐化しますが、「情緒価値」や「社会価値」は簡単には真似できず、そのブランドのオリジナリティを形成します。そうした「情緒価値」「社会価値」を大切にする「ファン」が、企業やブランドを中長期に渡って支持し、企業と共創して商品やブランドの成長を支えていきます。
・「ファンクラブ」は、主催者側からファンに対する情報発信がメインであり、逆方向の情報発信はありません。
・「推し活」は、三次元の人物や二次元のキャラクター、そして人物以外の「推し」と呼ばれる自分のお気に入りを見つけ、応援する活動のことを指します。
・「ファンコミュニティ」は、運営者(企業)とファンのそれぞれが情報発信することができます。
SNSは多くのユーザーが使っているため規模が大きく、多くの人から注目を浴びる「バズる」といわれる現象が起こるように、情報の拡散が得意なメディアです。ブランドや企業からの情報発信に対して多くのユーザーが反応するため、ファンが増えたと錯覚されることもあるでしょう。しかし、SNSでの発信はそのほとんどが企業やブランドからユーザーへの一方向の発信となるため、ユーザーと継続的に接点を持つことや深い関係を醸成することが難しく、期待するような「ファン化」はなかなか起こりません。
一方、ファンコミュニティは、ブランドや商品の熱烈なファンからライトな関心層まで多様なメンバーが集まり、オンライン上で双方向コミュニケーションができる場です。そこでは、企業とメンバーが継続的に対話することができ、対話を通して深い関係を醸成し、ファンを育てることができます。
SNSとファンコミュニティは、それぞれの得意分野を理解して、うまく使い分けていくことをおすすめします。
前述した通り、「ファンコミュニティ」とは、ブランドや商品の熱烈なファンからライトな関心層まで多様なメンバーが集まり、オンライン上で「双方向コミュニケーションができる場」です。運営者(企業)とファンのそれぞれが情報発信できることが大きな特徴で、ファン同士または企業とファンが継続的に交流することが可能です。ブランドや商品に対する無関心層もコミュニティであれば気軽に参加できるでしょう。
ファンコミュニティでは、コメント投稿やいいね!(同意や応援の意を表す)などのアクション、イベント参加といったコミュニティ内での活動がデータとして計測され、活動に応じてポイントやトークンなどの特典や、レベル毎にバッヂの獲得ができるケースもあります。コミュニティ内での活動がデータとして蓄積されていくので、ライトな関心層からファンに成長したメンバーがどのような活動をしていたのかを時系列を遡って把握し、分析することも可能です。
ユーザーコミュニティは、インターネットの普及とともに発展してきました。1995年にeBay(世界最大級の越境ECプラットフォーム)がユーザーコミュニティを設立し、その後、Microsoft、Dell、Appleなど、多くの企業がユーザーコミュニティを作り始めました。オンラインコミュニティの種類には、以下のようなものがあります。
ファンコミュニティとは、ブランドや商品に関心を持つ人を集め、ファン同士またはファンと企業が交流するコミュニティです。ファンコミュニティのメリットは、好きなことを共感できる人同士でつながって、盛り上がれることでしょう。企業が運営するコミュニティであれば、ブランドや商品について深く知ってもらうキッカケとなります。
また、ある特定の企業やブランドの利用者(購入者)であるユーザーたちが、情報交換やコミュニケーションを目的として集まる場を「ユーザーコミュニティ」と呼ぶ場合もあります。snowpeakのユーザーコミュニティは、いつでもどこでも同じキャンプの楽しさを知る野遊び仲間がキャンプ情報を共有し、交流しています。
黎明期のユーザーコミュニティは、トラブルシューティングやナレッジ共有など「ユーザー同士の助け合い」の意味合いが強いものでしたが、2010年前後から企業やブランドが顧客とのエンゲージメントを高める目的で活用するケースが増えていきます。
サポートコミュニティは、ユーザー同士がやり取りして、課題を解決するコミュニティです。ユーザー同士がやり取りできる場所を企業が設け、そこで製品やサービスについて知りたいことを誰かが質問すると、別のユーザーが答えてくれる仕組みです。Appleサポートコミュニティは、世界中のAppleユーザーがつながる場として活気に満ちています。
ナレッジコミュニティは、ナレッジ(knowledge)、すなわち知識を共有するコミュニティです。オープンで誰でも閲覧できる身近なナレッジコミュニティの例としては、「Yahoo!知恵袋」のようにユーザーが質問を投稿して、他ユーザーがその質問に答えるといったQ&A形式のサイトや、「Wikipedia(ウィキペディア)」のようにユーザーが自由に記事を編集できるようなインターネット百科事典サイトなどが挙げられます。
また、ビジネスにおいてもナレッジコミュニティは活用されています。企業内ナレッジコミュニティは、その企業の従業員のみ閲覧することを前提としたコミュニティで、個人が持つノウハウを社内の他メンバーと共有することができ、組織全体の知識アップや生産性の向上につながります。
オンラインサロンは、SNSなどを利用した月額会員制のコミュニティ。月額料金を支払っている会員だけのクローズドなコミュニティとなっているのが特徴です。実業家から芸能人、一般の方まで、さまざまな方がオンラインサロンを運営しています。オフ会を定期的に開催しているオンラインサロンもあり、オンラインだけではなくオフラインでも交流ができるメリットもあります。ホリエモンこと、堀江貴文さんが運営しているオンラインサロンHIUではFacebookグループ内に約30個の分科会が存在しており、ビジネスや遊びなどさまざまな活動が行われています。
趣味コミュニティとは、その名通り、共通の趣味を持った仲間たちが集まって情報交換をし、趣味を追求するために形成されるコミュニティです。現在確認できるだけでも、旅行や音楽、DIY、グルメなど、数え切れない種類のコミュニティが存在しています。趣味人倶楽部は、50~70代の大人世代が36万人在籍している、月間3,000万PV、115万UUを誇る中高年・シニア向けコミュニティ。カラオケ・食・旅・スポーツなど共通の趣味を介して交流しています。
地域コミュニティは、同じ地域に住んでいる住民がオンライン上でつながりを深めるコミュニティです。地域コミュニティでは、自治会(町内会)をはじめ、老人会や婦人会、子ども会、地域づくり団体など、さまざまな団体が活動を行っています。兵庫県淡路島の観光協会では、淡路島を舞台にしたオリジナルのRPG(ロールプレイングゲーム)を制作してリリース。これが観光需要の掘り起こしや町おこしにもつながると全国から注目を集めています。
世界的に有名な事例は、100万人以上のユーザーが参加する、LEGO社の「LEGO IDEAS」です。前身となるコミュニティは2008年にスタートし、現在ではLEGO IDEASの名称で運営されています。同社のコミュニティでは、LEGOファンが自分のアイデアを出し、ユーザーオリジナルのアイデア投稿に1万のいいね!がつくと商品化が検討されます。商品化が実現すると、ユーザーには売上の1%が還元されるというユニークな仕組みを持っています。企業やブランドとファンの関係性を強化する、現代的なコミュニティ施策の好例です。
アウトドア製品の開発・製造・販売を行うスノーピークの成功要因は、オンライン/オフラインをつなぐコミュニティ形成の強さにあります。
商品開発の段階から徹底的にユーザー目線に立ち、ECサイトでユーザーが買い物をした際にメールでレビューを依頼し、その結果を反映。FacebookやInstagram上での要望やユーザー同士のメッセージのやり取りにも着目しているといいます。Webメディアでは、スタッフ個人のライフスタイルやキャンプの楽しみ方、商品開発ストーリーなどを紹介することで、ブランドとユーザーの距離感を縮めることに成功しています。
さらに、このオンライン上でのコミュニティに加えて、1998年から続くオフラインのキャンプイベント「Snow Peak Way」を全国各地で開催。ユーザーとともにスノーピークの役員や社員が一緒にキャンプに行き、直接ユーザーの声を聞くコミュニティづくりを重視しています。豊かな自然の中でユーザーとスノーピークが、そしてユーザー同士がキャンパーとして交流することで、一企業以上の強いつながりが生まれています。
株式会社株式会社アテニアは、化粧品・健康食品・アパレル商品の製造および販売を行う企業。その30年の歴史で2度の売上低迷とV時回復を経験しています。2度目は2015年。ありとあらゆる手を尽くしたと振り返るこの時期に、業績回復の一翼を担ったのが、クオン株式会社が提供する「ファンコミュニティ」でした。2015年12月にコミュニティ運用を開始してから約8年、会員数は21万人を超えるまでに成長しています。
ファンコミュニティは本音だからこそ、メーカー側が意図していなかった商品価値を知ることができ、開発者が狙った効果とは異なるメリットや魅力をユーザーが発見してくれるといいます。さらに、ファンコミュニティにはアテニアのことを知ったばかりという方も少なくないそうで、ライトユーザーがヘビーユーザーの熱く語る姿を見ることが良い循環につながっているといいます。また、アテニア歴が浅いお客様について、コミュニティ登録の前後で購入率や購入金額を比較してみると、コミュニティ登録前に比べ、登録後は二桁成長をしています。リピーターを獲得することは容易なことではないので、この数字は驚くべきものといえるでしょう。昨今のトレンドとして、等身大で、距離の近いブランドが求められる時代へと変化しています。
「無印良品」でおなじみの良品計画。2001〜2003年には業績が悪化し、経営危機を経験しています。そこで、ユーザーが求める商品の開発と改善を行うために、Webサイト「ものづくりコミュニティ(現IDEA PARK)」を開設。ものづくりコミュニティはユーザーが商品アイデアを投稿し、投稿されたアイデアに投票ができるサイトです。良品計画は、投票の多かったアイデアの商品化プロジェクトを立ち上げて、プロジェクトの進捗状況をユーザーに伝えます。そして、プロジェクト中に一定数の購入予約者を募ったタイミングで、商品化する仕組みです。 同社は、ものづくりコミュニティを活用したことで、顧客ニーズに沿った商品の開発に成功。数々のヒット商品やロングセラー商品を生み出し、2006年度には過去最高益(営業・経常利益)を達成するなど、見事にV字回復を成し遂げました。現「IDEA PARK」では、日々お客様からこんな商品を作ってほしいと「リクエスト」をいただくコーナーと、より踏み込んでお客様と商品をつくり込んでいく「プロジェクト」のコーナーがあります。
Salesforceは、ユーザーコミュニティサイト「Trailblazer Community」を運営しています。世界中のユーザーと交流できる「オンラインコミュニティ」と、特定のユーザーと交流できる「オフラインコミュニティ」の2種類が用意されています。
このコミュニティは、ユーザー同士が協力して課題を解決する自主活動です。Salesforceに関する疑問点や業務の課題解決方法をコミュニティに投稿することで、ユーザー間で課題解決が行われます。投稿された内容と回答はいつでも検索できるため、Q&Aの役割も担っています。これによりSalesforceは最高のパフォーマンスを発揮し、顧客ロイヤルティの向上に成功。今では世界No.1のCRMベンダーとなりました。また、同社は社内サポートの負担やCSコストの軽減も実現しています。
ファンコミュニティがもたらす効果として、7つ挙げられます。
ファンコミュニティは、ブランドや企業にとって有益な情報が詰まった「宝の山」です。企業を意識しないオーガニックな生の声や、従来のアンケートやインタビューでは到達できない本当の心理、同じ価値観を持つ仲間同士だからこそ露呈される本音など、ファンの意見や声、要望を日々データとして蓄積することができます。企業目線では気づかないファン目線ならではの商品の魅力やサービスのメリット、日常的に使っているからこそ感じる改良点、他社ではなくあなたの企業のブランドや商品を選ぶ理由は、非常に価値の高い情報といえるでしょう。
使用歴が長く熱心なファンは、他のメンバーの疑問や悩みの相談に応じる姿がしばしば見られます。ブランドや商品に関する疑問について、コミュニティ内でユーザー同士が協力し問題解決に至るケースが多いほど、カスタマーサポートの負担が軽減できるでしょう。また、投稿された内容と回答はいつでも検索できるため、Q&Aの役割も担います。情報共有が活発なファンコミュニティは、カスタマーサポートの工数削減にも役立ちます。
ファンが気軽に参加でき、想いを共有できる場を作ることが、確実に「愛着」を強くします。企業とファンの間だけでなく、ファン同士の交流が深まることで企業への「愛着」が増すため、ファンが別の企業へ流出しづらくなるのです。また、既存顧客の成功体験などが投稿されることで、他メンバーに前向きな活動を促す効果もあります。
企業とファンとのコミュニケーションが生まれるだけでなく、同じ価値観を持った人たちが集まることでファン同士のコミュニケーションも活性化し、商品やブランドに対する熱量が高まる傾向にあります。コミュニケーション量が増えると、帰属意識が高まり、ファン作りをうまく推進することができます。
一方、ブランドや企業は、コミュニティ内のメンバーの行動や会話から「インサイト」を発見できます。ファンコミュニティは、商品・サービスの改良や商品開発、タッチポイント(顧客接点)の改善、新たな事業のアイデアなどに活用することが可能です。昨今では、ファンコミュニティを通じて得られるデータをマーケティングに活用する「コミュニティマーケティング」も広く行われるようになりました。
熱心なファンはしばしば、自らSNSやクチコミを通じてブランドや商品について発信してくれます。ファンコミュニティは、最上のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出す場として効果的に機能します。ファン同士がつながり、盛り上がり、共感し合う中で生まれるクチコミやシェアは、最も訴求力の強いコンテンツといっても過言ではありません。
ファンコミュニティは、以下の構造で中長期的なビジネス収益を向上させます。
・既存顧客の「愛着」が深まることでエンゲージメントが高まり、顧客維持率(リテンションレート)やLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)が向上し、売上が上がる。
・ファンコミュニティメンバーのUGC経由の新規顧客が増え、総顧客数が増える。
・ファンコミュニティ限定の商品やサービス(オリジナルグッズ、特別なオファーなど)、限定イベントなどが新たな収益源となる。
・ファンコミュニティを保有していることが、ブランド認知度の向上に寄与し、潜在顧客層へのリーチが拡大される。
ファンコミュニティを作る上で、成功のために押さえておきたいポイントをお伝えします。
会話の流れの中で、自社商品やサービスを紹介することはあるかもしれません。ある程度ファンコミュニティが盛り上がっていけば、会員限定のサービスや商品販売を考えることもあるでしょう。しかし、コミュニティは「コミュニケーションの場」であると常に意識する必要があります。商品を売り込むのではなく、ファンと交流することを第一に考えることが必要です。
コアファンだけの限定したコミュニティにしてしまうと、コアファンにしかわからない話題ばかりが飛び交い、他の参加者を寄せ付けない状態(「タコツボ化」とも呼ばれます)が起こります。この「タコツボ化」が進むと、特定のファンだけが発言するようになり、場は閑散としていきます。ファンコミュニティでは、コアなファンとライトなファンが相互にコミュニケーションすることが重要なポイントです。
インフルエンサーによる投稿を活用すれば、キラキラした写真やコメントとともに、他メンバーからの共感やいいね!などのアクションによってコミュニティが盛り上がっているように見えるかもしれません。しかし、横のつながりは起こらないため、ファンを育てる場にはなりません。
コミュニティでむやみにインセンティブをばら撒くのは、アンダーマイニング効果(内発的動機がなくなってしまう)を誘発したり、投稿の質を落としたりするリスクがあるので注意が必要です。インセンティブは“ハイエンドな貢献をした方”に送るスーパーユーザープログラム”であることが重要です。
コミュニティの実施において特に重要なのが、「目的の明確化」です。コミュニティは基本的にメンバー同士の自発的な交流で進められるため、自由な意見が集まる一方で、話題が別の方向にそれやすい側面もあります。コミュニティは共通の目的についての話題があると活発な意見交換が行われやすく、活性化が期待できます。企業側はファンのやり取りをみて、新しい発見をすることも多くなるでしょう。新商品の開発についてアイデアを得られるかもしれません。
コミュニティ形成で重要となるのが、「参加メンバー」の存在。メンバーの声を反映した動線設計や仕組みづくりは重要です。メンバーが気軽に意見を述べられる環境を整えることで、より多様な視点やアイデアを得ることができます。オンラインコミュニティ内に意見交換の場を設けるのもよいでしょう。これにより参加しているメンバーの満足度向上や、コミュニティを“自分ごと化”する意識醸成につながります。
ファンコミュニティは作って終わりではなく、完成してからが始まりです。コミュニティの活性化には、定期的なイベントや活動が欠かせません。コミュニティの目的に合わせて、メンバーが参加しやすいアンケート企画をはじめ、ワークショップや交流会などのイベントを定期的に開催しましょう。メンバーが興味を持ち、楽しみながら参加できるイベントを提供し、オンライン/オフラインでの交流を促進しましょう。
ファンコミュニティにおいて、コミュニティマネージャーは重要な役割を果たします。メンバー同士のコミュニケーションのサポートやトラブル回避、情報共有など、コミュニティマネージャーの存在がコミュニティの満足度を左右するといっても過言ではありません。多岐にわたる業務を遂行しながら、コミュニティの活性化と発展を促進しましょう。
まずはコミュニティを通じた交流で、メンバーとの良好な関係を作り上げていきましょう。良好な関係の構築は一朝一夕にできるものではありませんので、中長期的な取り組みが不可欠です。
ファンがブランドや企業を応援したくなるコミュニケーションには、今まで顧客に見せていなかったストーリーや裏側なども包み隠さず見せることがポイントです。
ブランドや企業の起源や理念、目指しているゴール、社員のブランドや商品への愛着、お客様への想いや葛藤などを伝えることで、商品の良し悪しだけでなく、その背景にあるブランドや企業の持つストーリーが共感を生みます。
裏側や苦労した経験、本来は隠したくなるような失敗談も包み隠さずファンに開示しましょう。ファンにもっと喜んでもらえるように商品やサービスを改善したり、企画を実行したり、ファンと誠実に向き合う姿勢が信頼につながります。
目指すゴールの達成に向けての課題や、どのように向き合っているかをファンと共有しながら一緒に歩を進めていくことで、仲間意識を醸成し、ファンの応援したい気持ちを喚起します。これらをファン層に繰り返し伝えることで、ブランド・企業とファンの距離感が縮まり、熱く応援してくれるロイヤルファンが育っていくことになります。
KGIに設定すべきは、収益性と相関がある「推奨意向度」です。ファンマーケティングでは、収益性と相関のあるNPS(推奨意向度)をKGI(重要目標評価指標)として設定することをおすすめします。NPSが向上することで「他者へのポジティブなクチコミ・知人への積極的な推奨」に加え、「継続購入・高頻度での購入」「追加購入・アップセル・クロスセル」「企業へのフィードバック・プロダクト開発やサービス改善へのアイデア提供」などのポジティブな影響をもたらし、結果として企業の売上と相関するようになります。
よって、コミュニティにおけるKGIをNPSとして、KPIに投稿数、コメント数、外部SNSへの投稿も含めたクチコミ数を設定し、効果測定しながら購買・来店・継続などの最終ゴールとの相関を追いかけていくのがいいでしょう。
コミュニティが活性すると、それに比例して参加者のコミュニティに対する帰属意識が高まり、その影響が行動に現れ、購入金額や購入頻度が増加したり、離反率が低下したり、他者への推奨が起こるようになります。その結果、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)が向上していきます。つまり、コミュニティの活性と売上というのは、相関関係にあるといえるでしょう。
ファンコミュニティが活発になればなるほど、ユーザーはブランドや商品に関するより多くの情報が得られ、ファンも増えていきます。結果として、1日でも長くブランドや商品を愛用してくれるユーザーが増えていく、という発想になります。
ファンコミュニティが自走していくには、メンバー自らが自由にテーマを設定して、参加したいという思いを持つ人たちを受け入れることが重要です。企業としてはそのために必要な支援やヒントを提供するというスタンスになるでしょう。
ファンコミュニティの運用の秘訣は、「利益重視に陥らない」「ファン向けに直接営業をかけない」ことです。ユーザーへの感謝の気持ちと、良質なコンテンツの提供や居心地のよい場所作りを心がけていれば、自然にファンは集まるでしょう。
ファンコミュニティの企画・構築・運用は、ぜひトランスコスモスにご相談ください。
著者
メタバース情報局編集部
メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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