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コラム

2023/11/22

メタバースコミュニティとは?メリットや事例、運営方法を紹介

メタバースコミュニティとは?メリットや事例、運営方法を紹介

オンラインの仮想空間上で、アバターを介したコミュニケーションが取れるメタバース。コミュニティ形成との親和性が高く、次世代のコミュニティスペースとして、その可能性に注目が集まっています。本記事では、メタバースを活用したコミュニティのメリットや活用事例、メタバースコミュニティを成功させる運用のポイントをご紹介します。

メタバースとは

メタバースは「メタ(meta)=超越した」と「ユニバース(universe)=宇宙」を組み合わせた造語で、インターネット上でアバターを通じて人と人が繋がる仮想空間のことを指します。メタバースにAR(拡張現実)やVR(仮想現実)の技術を掛け合わせれば、現実世界や風景にCGの映像や情報を重ね合わせて表示させることも、現実にはありえない世界をCGによって仮想空間に再現させることも可能です。

メタバースでコミュニティを作るメリット

メタバースをプラットフォームとして活用し、コミュニティを作るメリットを見ていきましょう。

2-1. いつでも、誰とでも交流できる

メタバースはインターネット上に構築されるため、世界中のユーザーとつながることができます。いつでもどこからでもアクセスでき、同じ一つのメタバース空間で交流することが可能です。現在は、VRヘッドセットがなくてもPCやスマートフォンなどからWebブラウザで手軽に参加できるメタバースプラットフォームが増えてきているため、より多くのユーザーがアクセスできる環境になっています。

2-2. “実在感”のあるコミュニケーションが取れる

メタバース特有の「アバターコミュニケーション」「同じ空間での体験の共有」「偶発的な出会い」という価値を活かすことで、遠隔でのコミュニケーションに“実在感”が得られます。ビデオ会議ツールの場合、見えるのは画面越しの映像のみで、人数が増えれば増えるほど会話で気を遣うシーンが見受けられます。しかし、メタバースならアバターが現実のように近づいて話したり、自由に交流したりすることができるので、こうしたストレスが軽減されます。また、顔出ししないので対面よりも緊張しない、話しやすいというメリットもあります。

2-3. コミュニティ形成の場に進化させる

最終的に目指すゴールは、企業が顧客やユーザーに体験を提供し続けることではなく、顧客やユーザー自身が自発的に「メタバース」という場で交流し、コミュニティを活性化していくことです。しかしながら、一朝一夕に自発的な交流は生まれないため、企業からの継続的なコンタクトはもちろん、Webサイトや既存のSNSも活用した積極的なコンタクトにより、コミュニティを活性化させることが不可欠です。メタバースでコンテンツを楽しむだけでなく、共通の興味や関心事があるユーザーが集うコミュニティの形成を目指しましょう。

メタバースを活用したコミュニティの事例

それでは、実際にメタバース空間でコミュニティ活動を行なっている国内事例を見ていきましょう。

3-1. トランスコスモス株式会社:「みんなのメタバースコミュニティ」(ファンコミュニティ)

トランスコスモスとクオンは、メタバースのファンコミュニティ「みんなのメタバースコミュニティ」を2023年6月1日にオープン。同コミュニティは、クオンが運営するオンラインのファンコミュニティプラットフォーム「“絆”のコミュニティ」上に開設。メタバースを日常的に楽しんでいる人から、メタバースって何?と気になっている人まで、メタバースに関心のある人たちが集まるコミュニティです。誰でも参加可能であり、トークテーマへの回答や参加者同士で交流を楽しみながら、メタバースへの理解を深めることができます。
このコミュニティでは、メンバーの皆さんに、クライアントが実際に企画・制作したメタバースイベントや空間そのものを体験していただき、率直な意見や感想を調査し、クライアントにフィードバックする取り組みも行っています。
2023年8月に行われたTOKYO FM『松任谷正隆の・・・ちょっと変なこと聞いてもいいですか?』でのメタバース公開収録では、公開収録に使用されたメタバース空間を期間限定で一般公開し、当日の公開収録の様子をAudeeで聴きながら、「メタバース ラジオブース」と「メタバース ジャングルルーム」にアクセスしていただきました。

公開収録を追体験したメンバーの感想は、「TVゲームの世界に入り込んだ様な、不思議な感覚でした」「メタバースで色々なことが出来ることが分かり感動できました」「対面ではない分、余計なことを考えずにコミュニケーションができるので、気楽に参加できると思います」「今まで出来なかった事、行ったことのない地域への仮想旅行などが出来て、未来を感じました。これからメタバースの中で働き、買い物などもするようになる日が近づいている感じがします」などの感想が寄せられました。
トランスコスモスでは同コミュニティを通じて生活者とつながり、メタバースに対する一般消費者の実態を把握しながら、意識変化や態度変容を調査します。また、コミュニティで得られる消費者の声やインサイトを活用し、メタバースの体験価値向上や利用者の増加を図ります。

▶▶みんなのメタバースコミュニティはこちら

3-2. 株式会社ブルボン:ブルボンメタバース(ファンコミュニティ)

出典:ブルボンメタバース

ブルボンメタバースは「お菓子が持つ楽しさ」と、ブルボン本社がある「新潟県柏崎市の魅力」を一体化した新たなコミュニティ。バーチャル内のアバターを通じてファン同士で直接的な対話が可能です。
このメタバースは「お菓子な森」「ブルボン本社」「宇宙空間」の3つのエリアで構成されており、クイズスタンプラリーに加え、取得したコインの枚数に応じて使用できるアバターが増えるなどゲーム要素がプラスされました。さらに、高精細な360°パノラマの柏崎の街並みが楽しめ、利用者がアバターを通して柏崎市の各所を疑似体験できる仕様になっています。メタバースで企業と生活者と地域をつなぎ、さらなるファンの獲得とファン同士のコミュニティの活性化につなげています。

3-3. バンダイナムコグループ:ガンダムメタバース(ファンコミュニティ)

出典:株式会社バンダイナムコエンターテインメント

「ガンダムメタバースプロジェクト」は、世界中のファンが集い、語り合い、ガンダムのアニメやガンプラだけでなく、ファンが作ったガンプラ作品やアートといったUGC(User Generated Content)など、さまざまなコンテンツに触れることのできる「バンダイナムコグループがファンと共創していく場」を目指しています。
ガンダムメタバースは、2023年10月6日から10月17日に、日・米で期間限定オープンすることが決定。期間限定オープン時には、ガンダムの世界観に浸ることができる3D空間や、6種類のイベント限定ガンプラが購入可能なECショップ、ガンダム作品にゆかりのあるアーティストによるメタバースライブが楽しめる空間が登場予定。また、メインコンテンツとして、ファンが作ったガンプラの写真や、ソニーグループと共同で実現した「ガンプラスキャン」で3Dスキャンして生成したモデル、ガンプラカスタムスキルを紹介する動画などを楽しめる「UGCミュージアム」がオープン。そして、ファン同士のコミュニケーションの一助となるべくAIキャラクター「メロウ」などを実装予定。さらに、3D空間ならではの演出を加えたデジタルジオラマなどのコンテンツも楽しめます。

3-4. SONY:マンチェスター・シティ・フットボール・クラブ(次世代オンラインファンコミュニティ)

出典:Sony@CES 2023

メタバースの特徴の1つは、仮想空間内で他者との交流がよりスムーズにできること。この特徴を生かしてメタバース上で次世代ファンコミュニティの実現に向け、実証実験を行っているのがソニーグループです。
イングランドの名門サッカークラブ、マンチェスター・シティ・フットボール・クラブとオフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメント・パートナーシップ契約を締結し、新しいオンラインコミュニティの創出とファンエンゲージメントの最大化を目的として実施。世界中のファンが同じ空間に集まり、「好き」を共有できる空間を創り出し、「メタバースならではの体験」の創出を目指すとのこと。具体的なサービスでは、仮想空間にマンチェスター・シティのホームスタジアムであるエティハド・スタジアムをリアルに再現し、世界中から集まったファンは仮想空間上にアバターを作成し、世界中いつどこでもスタジアムにアクセス可能となる予定です。

3-5. 株式会社Gugenka:Gugenkaコミュニティ(バーチャルワークコミュニティ)

出典:Gugenka公式 バーチャルワーカー登録ページ

場所や性別、年齢や身体的特徴に縛られず活動できるバーチャル上のメリットを活かし、さまざまな活動を支援するGugenkaが主催するコミュニティ。今までの概念に囚われないメタバースだからこそ可能な自由な働き方、自由な交流や情報交換をより多くのユーザーに満喫していただくために、ユーザーが集まれる場所を提供しています。
Gugenkaでは、業界の先駆けとして2020年よりアバターワークの実証実験を開始、2022年1月よりバーチャルワーカーと企業をつなぐサービス「Gugenkaバーチャルワーク」の提供を開始しました。Gugenkaコミュニティの参加者には、イベントやサービスの優先案内をはじめ、「バーチャルワーカー」としても活動できます。

3-6. 新潟県長岡市:メタバースとNFTを活用した「仮想山古志プロジェクト」(自治体コミュニティ)

出典:メタバース山古志

新潟県長岡市の山間に位置する美しい山あいの村「山古志(やまこし)」地域では、デジタル上の関係人口を増やす試みとして、村の「電子住民票」を付与したNFTアートの発行と、山古志メタバースを構築しました。
村の特産である錦鯉をモチーフにした「Nishikigoi NFT」の保有者は、デジタル村民として地域活性化のプロジェクトへの出席やデジタル村民選挙での投票ができるようになり、村外で生活しながらも村の復興プロジェクトやガバナンスに参加することができます。公式ウェブサイトによると、山古志は人口800人という小さな村にも関わらず、現実の人口を上回る1,000人超のデジタル村民が誕生し、リアルな山古志とデジタル村民がともに地域課題の解決や関係人口の創出など、山古志の未来をつくるための挑戦を始めています。

3-7. チャーミングケア:病気や障がいのある子供のコミュニティづくりプロジェクト(子供向けコミュニティ)

出典:チャーミングケア

一般社団法人チャーミングケアは、病気や障がいのある子どもたちに向けたコミュニティづくりと職業体験のイベントをメタバース空間で実施すると発表しました。
アバターで参加できるというメタバースの強みを活かし、見た目を気にすることなく自由に参加できる場所を提供。イベントやゲーム、ワールド(空間)制作作業などを通して、交流を深める居場所づくりに取り組んでいく予定です。同団体の広報を務める中学3年生の石嶋壮真さんがメタバースワールド制作のプロジェクトリーダーを担当。特技のプログラミング技術を活かし、プロのクリエイターとともに、子どもが活用するワールドの世界観に子どもの意見を反映するといいます。

メタバースコミュニティを成功させる運営ポイント

メタバースを活用したコミュニティを作る上で、成功のために押さえておきたいポイントをお伝えします。

4ー1. コミュニティの中で商品やサービスを売ろうとしない

会話の流れの中で、自社商品やサービスを紹介することはあるかもしれません。ある程度コミュニティが盛り上がっていけば、会員限定のサービスや商品販売を考えることもあるでしょう。しかし、コミュニティは「コミュニケーションの場」であると常に意識する必要があります。商品を売り込むのではなく、ファンと交流することを第一に考えることが必要です。

4ー2. 目的を明らかにする

メタバースコミュニティの実施において特に重要なのが、「目的の明確化」です。コミュニティは基本的にメンバー同士の自発的な交流で進められるため、自由な意見が集まる一方で、話題が別の方向にそれやすい側面もあります。コミュニティは共通の目的についての話題があると活発な意見交換が行われやすく、活性化が期待できます。企業側はファンのやり取りをみて、新しい発見をすることも多くなるでしょう。新商品の開発についてアイデアを得られるかもしれません。

4ー3. メンバーの声を反映する

コミュニティ形成で重要となるのが、「参加メンバー」の存在。メンバーの声を反映した動線設計や仕組みづくりは重要です。メンバーが気軽に意見を述べられる環境を整えることで、より多様な視点やアイデアを得ることができます。メタバース内で意見交換の場を設けるのもよいでしょう。これにより参加しているメンバーの満足度向上や、コミュニティを“自分ごと化”する意識醸成につながります。

4ー4. 定期的なイベントや活動を実施する

メタバースコミュニティは作って終わりではなく、完成してからが始まりです。コミュニティの活性化には、定期的なイベントや活動が欠かせません。メタバースコミュニティの目的に合わせて、メンバーが参加しやすいアンケート企画をはじめ、ワークショップや交流会などのイベントを定期的に開催しましょう。メンバーが興味を持ち、楽しみながら参加できるイベントを提供し、コミュニティ内での交流を促進しましょう。

4ー5. コミュニティマネージャーの存在

メタバースコミュニティにおいて、コミュニティマネージャーは重要な役割を果たします。メンバー同士のコミュニケーションのサポートやトラブル回避、情報共有など、コミュニティマネージャーの存在がコミュニティの満足度を左右するといっても過言ではありません。多岐にわたる業務を遂行しながら、コミュニティの活性化と発展を促進しましょう。

4ー6. 短期的な成功を求めない

まずはコミュニティを通じた交流で、メンバーとの良好な関係を作り上げていきましょう。良好な関係の構築は一朝一夕にできるものではありませんので、中長期的な取り組みが不可欠です

まとめ

物理的な制約がなく、どこからでも参加できるメタバース。さらに、実在感のあるコミュニケーションが取れるという点で、コミュニティ形成との相性がよいことはおわかりいただけたと思います。まだ国内事例は多くありませんが、ファン・顧客との関係性を深めるクローズドなコミュニティや、同じ趣味を持つ仲間が気軽に集まれるコミュニティなど、今後の広がりにも期待が高まります。
トランスコスモスでは、メタバースを活用したコミュニティ形成の企画・プラットフォーム選定から運用までを一貫してサポートしています。メタバースを活用したコミュニティや、2次元でのコミュニティサイトの実施を検討されている方は、ぜひお気軽にトランスコスモスにご相談ください。

  • 著者

    メタバース情報局編集部

    メタバース情報局 by transcosmosはトランスコスモス株式会社が運営する法人向けメタバース情報メディアです。メタバースを活用したビジネスの事例やノウハウ、最新情報、バーチャル体験など、メタバースの魅力をお届けします。ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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